*main(ATLUS)*

□世の中の厳しさ。 Part2
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「お前は一回マジでしねぇっ!」
中央広場に響きわたる大声に、雪子と顔を見合わせた。


「どしたの??」
「おぉ」
「いやなあ…」
目を丸くした月森君の隣で、ピリピリとした花村が口を開いた。
その、二人の間にある厚い温度の壁はなんなのよ。
まあともかく、話をまとめると月森君が直斗君と二人で行きたいらしい。
りせちゃんもつけずに。
「でもリーダー、前りせちゃんいたのに死んだじゃん」
あたしが言うと月森君は目を背けた。
反省はしているようだ。
「直斗君は、どうしたいの?」
あたしの後ろで、雪子が直斗君に問いかける。
そうだよね、本人の意見を尊重しなきゃ。
「ぼ、僕ですか…っ。ぼくは、その」
「遠慮なんかしなくていいのよ、直斗君」
優しげな雪子に、直斗君がいいずらそうにしながら話す。
「僕は、先輩と二人きりも、いいなぁ、と。思うんですが。みなさんに迷惑をかけたら…」
その、回復スキルありませんし。
と続ける直斗君はなんとも可愛らしかった。
「うーん。月森君、セーブ。ちゃんとしよっか」
雪子が笑って月森君に言った。
「今回だけな、相棒」
「なんで直斗にはそこまで優しいんだ」
「文句、あるの?」
「ないです」
うん。
後輩の可愛さって凶器だね。
「ところでリーダー、最後にセーブしたの、いつなの?」
なんとなく、ただなんとなく聞いてみた。
「えっと…。七月の」
「…え」
「月森君、ちょっとおいで。完二君。手伝って」
雪子が完二君を手招きした。
「うっす」
「ちょ、え?あの」
あたしが、ただ何となく聞いた質問によって、彼は青い蝶の舞う広場の一角に強制連行されるのだった。
まあ、七月からのやり直しは、もう勘弁である。

「これからは、毎日セーブ。しようね」
「はい。菜々子に誓って」

結局月森君の希望である、りせちゃんも抜きで二人で突入ってのは実現しなかった。
月森君の大きなため息がやけに耳についた。
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