◆main(MOTHER)◆

□ぜんそくだ
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「ねえ、ケン。私、何かしたかな?」
「…え?」
「…悪いところがあったら直すから、言ってね?」
不安そうにアナが言い、ケンはぱちぱちと瞬きした。
「なんでだ?」
「…ケン、私のこと避けてる気がして」
「…は?」
避けているつもりはなかった。
ケンは記憶をたどってみる。
避けてはいないが、ロイドと比べれば確かにアナとの会話は少なかった。
「あぁ、悪い。避けてる訳じゃないんだ。ごめんな、傷つけた?」
アナの顔色を伺ながらケンが問えば、アナは安心から息をついた。
「ううん、ちがうならいいの。こっちこそごめんなさい」
アナがにっこりと笑った。
ケンがそっと顔を逸らした。
「…あの、ケン?…もしかして、やっぱりわた」
「ち、ちがう。ちょっと喘息がでそうなだけだ。避けてる訳じゃないから」
ケンの頬はほんのり赤く、しかしアナからそれは見えない。
「だ、大丈夫?!…ケン、ヒーリング、いる??」
心配そうに、顔を覗き込もうとするアナから無意識に目線をそらしつつケンは叫ぶように言った。
「だ、大丈夫だって。ほら、そろそろ行こう。ホテルでロイド待たせてるだろ」
「…うん、そうね」
返事をしたアナの手首をぱしりと握ってケンは早足で歩きだした。
ケンの表情は見えなかったが、アナはクスリと笑ってケンのあとをついていった。
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