◆main(MOTHER)◆

□PSIと僕
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「…もう、一年が経つんだな」
ジェフは空を見上げて呟いた。
生憎の曇り空が続いてばかりだが、雨ではない。
ジェフはネスに誘われてフォーサイドに遊びに来ていた。
皆で戦ったあの頃から、早くも一年が経った。
「…ジェフは、どう思う?」
「なにがだ?」
「…ぼくらさ、勝ってない」
「何言ってんだ、僕らは勝ったじゃないか、みんなの力でさ」
「…あの、さ。すごくいいづらかったんだ、でもね」
久しぶりに見たネスの顔色はどこか青ざめていて。
まさか、もしかして。
嫌な考えがジェフを襲う。
「もう。時間がないんだよ」
「…はい?」
「もう、時間がないんだ、ねえ、君しかもう、いないんだよ」
ネスは虚な目で、でもたしかにジェフをしっかりみつめた。
「みんなを、たす、けて、ね」
「訳がわからない、ちゃんと説明してくれ、僕は」
「きみは、あたまがいいから、わかるとおもう。ぼくは、、PSIだ。ポーラもプーもだ」
青ざめたネスの顔を見ていられなくて、曇り空を見上げた。
「ぼくたちは、時間がない…」
「…わかった」
勝てていなかった。
そんなはずはない。
あの宇宙人は消滅した、はずだ。
どうして?
「頼んだよ」
がくりと、ネスが気を失った。
「…ひどいよな」
そんなネスに背を向けて、ジェフは走り出す。
サターンバレーへ
サターンバレーへ
バスに駆け込む。
扉が閉まる瞬間、世界を救うハズだった少年の絶叫が響き渡った。
「…どうしろって、いうんだよ」
窓の外、雲がだんだん無くなっていく。
そこにあったのは、青空と太陽ではなく。
黒い空に、赤い雲で描かれたあいつの顔だった。
きっとあいつから今、PSIの精神を蝕むテレパシーが放たれているのだろう。
だから、ネスは狂ったように叫ぶ。
ジェフはしっかり、自我を保っている。
「なんとかして、助けるよ」
ジェフは初めて、自分がPSIでないことに感謝をした。
反面、自分も一緒に狂ってしまいたかったとも思った。
フォーサイドから、爆発音がした。
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