永遠の罪

□序.
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一方、臨也と新羅に後を追われているとは知らない静雄と門田は歩きながら話していた。
その内容は…
「静雄、そろそろ臨也のこと許してやらないのか?」
静雄が自分の恋人に怒っている臨也のことであった。
「…………。」
「どうせ、下らない意地で臨也のこと許してやれないんだろ。
いい加減に許してやったらどうだ?」
「………だろ。」
「ん?」
「あいつだって…
あんな俺を見て愛想ついたんだろ。
…だったら、このまま別れた方がましだ。」
「………。」
門田はその言葉を聞いて呆れていた。
臨也は静雄が好きで静雄の全てをわかった上で晴れて恋人になった。
臨也が愛想を尽かしたのならとっくに別れを宣言している。
そう門田は考えているのだが、今の静雄に言っても聞かないと思ったから何も言わなかった。
静雄と門田が林の奥へ黙々と歩いていると、不意にあるものに目を向けた。
それは、昔の広い作りをしていた廃屋だった。
「……廃屋か。
こんな、山んなかにあってもおかしくないか。
静雄、そろそろ戻るぞ。」
「あ、あぁ。」
静雄と門田が廃屋に背を向けたその時、
ーー助ケテ。
『…ぇ。』
静雄と門田の耳に今にも消えそうな少女の声が聞こえた。
静雄と門田が廃屋に目を向けるが、少女らしき影は何処にもない。
「………どうする、門田。」
「もしかしたら、山の麓の町の子供が迷ったのかもしれない。
一旦、行ってみよう。」
「…わかった。」
静雄と門田は廃屋の中へと入っていく。
廃屋の中を見た二人の最初の印象は“荒れている”だ。
「…物凄い荒れているな。」
「そりゃあ、何年も経っているんだ。
荒れていて問題ないだろ。」
二人が廃屋の奥へと進もうとした時、
「か、門田君!!
静雄、待って〜!!」
「?
岸谷、臨也。」
「!!」
後から来た新羅と臨也は二人に近づく。
いきなり廃屋に入って心配になって追ってきたのだ。
だが、門田の臨也という言葉を聞いた途端、静雄は顔を臨也と会わせようとしなかった。
気まずい空気が四人を包む。
「……シズちゃん、あの…」
「……。」
臨也は静雄と顔を会わさないまま声を出すが、静雄は一人廃屋の奥に入ってしまう。
「!!
シズちゃん!!」
「オイ、静雄!!」
「静雄待って!!」
廃屋の奥へと入った静雄を追うように臨也達も奥へと廃屋の奥に進む。
荒れて割れている木の板の床を通り、両開きの扉がかすかに開いていることに気づいた臨也達はその扉をあける。
そこには、中庭らしい庭と腰を抜かして座っている静雄がいた。
臨也達は静雄に近寄る。
「静雄、勝手に入ったら危ないだろ。」
「そうだよ。
100%臨也が悪いのは分かっているけど避けちゃ臨也がかわいそうだよ。」
「オイコラ新羅。
…シズちゃん?」
何を話しても反応しない静雄に不審を感じたのか、臨也が周りを見て静雄が見ているものを分かってしまう。
門田と新羅もそれにつられてしまう。
それはー
黄はだ色の着物を着た少女が中庭の木の枝に紐で首を吊っていた。
『!!』
その時、
ズドドドドドド…!!
四人の体が地震でもあっているかのように重力に圧されてしまう。
四人はそのまま気を失う。
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