短い物語
□足音弾む
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夏を名残惜しむように、各地では花火大会が行われていた。
「花火大会!?」
「今年最後の花火大会よ」
火の国最後の花火大会と大きく書かれたチラシを持参して、サクラは力説する。
「今週末、七班はお休み!!」
「マジで!?サクラちゃん」
「マ・ジ・よ。ナルト」
サクラはゆっくり振り返りナルトに微笑んだ。
サクラちゃんの浴衣姿。
きっと、綺麗だろうな…。
「あのさ、あのさ」
ナルトは頬を染めて、サクラを見詰める。
「ん、何?ナールト?」
ヒョイと樹の枝から、逆さまに吊り下がったカカシが顔を出す。
「うわぁ!!」
「きゃあー!?」
ビックリしたナルトとサクラが尻餅をつく。
「なーにやってんの?」
のんびりとした口調で悪びれる事もなく、カカシは着地した。
「ひっでーな!!カカシ先生のせいだってば!!」
「そうですよ、痛かったぁ」
お尻を擦りながら、二人はゆっくり起き上がった。
地面に落ちていたチラシを、ヒョイッとカカシが拾い上げる。
「もしかして、花火大会?」
チラシと二人の顔を交互に見合わせて、「成る程」とカカシは小さく呟いた。
「火の国最後の花火大会なんですよ」
「今年の夏、最後の花火大会だってばよ」
二人は少し興奮したようにカカシに詰め寄って、力説した。