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□迷探偵たぬき
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 たぬきの村では成人するときに職業を決めるという。たぬきのくせに成人とはよくわからない言い方ではあるが、たぬきは寿命が10年ほどなので、おそらく3歳くらいになったら成人なのだろう。

 そしてこの小さな村でも成狸の儀式は行われていた。

 「えー、ではこれから成狸の儀を執り行う」

 狸の村長が二本足で立ちながら言った。

 「今日成人になる狸は4名。みな逞しく育ったな」

 皆が村長の言葉に聞き入っている。

 「成狸になる皆には、これからどういう生き様をするかを決めるためにも、自分の職業を選んでほしい」

 「そんちょー。なりたい職業がとくにないんですがー」

 成人を迎えた狸のなかで、一番おっとりしてそうな顔の狸が言った。

 「別になんでも良いんじゃよ。医者でもサラリーマンでも詐欺師でも。お前たちがどう生きていくか、それを今この成狸の儀で示して欲しいのじゃ」
 
 「ほー、なるほどー」

 おっとり狸は納得したようだ。
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