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□ユウスケ(仮)
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今日この日も、実に平穏な一日であった。
ふと時計を見ると、午後の二時をまわっていた。昼飯を食べていないのを思い出し、一階の台所に行った。
階段を降りて台所に続くドアを開けてみた。
そこには見知らぬ人が、こちらに背を向けてなにかあさっていた。
犯罪の匂いがする。しかしなぜ台所なのだ。ここには金目の物は置いていないぞ。
もしかしたら腹が減っているのだろうか、と僕が思慮を巡らせていると、そいつはいきなりこちらに振り向いた。
「なにものだ!」
そいつは言った。こっちが聞きたい。
彼……いや、よく見ると彼女である。マスクをしていて、サングラスをかけている。どう見ても不審者である。
おまけに衣服は汚れていて、少し異臭もする。完璧に浮浪者のいでたちである。
だが、よく見ると元の衣服はかわいいデザインをしている。上はピンクのパーカーで、下は黒のスカートだった。
それにしてもボロボロの服を着ているな。換えはもっていないのだろうか。
そんなことよりとりあえず。
「食うのをやめろよ!」
そいつはいまだに冷蔵庫をあさって、ハムやら何やら食べていた。
「お腹空いてるんだからしょうがないでひょ」
ハム女はそう返した。
こちらとしては返す言葉もない。