覚めない夢
□第二章 唯一の2人?
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「お久しゅうございます。土方さん」
私は土方さんの前に正座をして、ていねいなお辞儀をした。
土「さぞたのしんだろう、久々の故郷を」
「えぇ、それはもう。ふふっ」
土「何がおかしい?俺の顔に何かついているか?」
思わず口に手を当て笑う私に土方さんはそういった
「いぇ、鬼の副長さんもずいぶん丸くなりましたねぇ?顔が以前と全然…何かあったの?優しい目ぇして」
いたずらっぽく微笑んで土方さんをからかうのは久しぶり
懐かしい感覚
土「馬鹿言うんじゃねぇっ!!久しぶりに帰ってきていうことがそれかぁ」
近「まぁまぁ、歳、いいじゃないか」
隣にいた近藤さんが嗜める
沖「そうですよ、土方さんは固すぎ、名無しさんちゃんがかわいそうじゃないですか、あんまり怒るとはげますよ」
「そうだそうだ」
土「総司!!名無しさん!!」
総君と一緒に土方さんをからかって
怒られて
平・原・永「ぎゃはは」
3人が笑って
いつも通りの幸せなひと時
これを味わえるのは私一人
世界中の女の子が美貌・頭脳・お金をいくら使ってもきっと無理なこと。
私が安らぎに浸っていると、土方さんが何かを思い出したように、そうだ、と言った。
土「お前に紹介したいやつが居る、入れ」
戸がゆっくり開き記憶に新しい人物が入ってきた。
「えっ?…ぁな…た」
その人物はおずおずと土方さんの隣に座った
土「雪村千鶴だ、よくしてやってくれ」
千「以前から名字さんさんの事はみなさんから伺っておりました。宜しくお願いしますね」
彼女は温かみのある笑顔でそう言った。
私は、思わず眉をひそめてしまった。
あの娘に悪い印象を与えたくはない、だが、作り笑いを浮かべる余裕はない。
曇天のように心が淀んだ私の気持ちに反し、空はからりと晴れていた。
まるであの娘の笑顔の様に。