覚めない夢

□第二章 唯一の2人?
1ページ/1ページ




「お久しゅうございます。土方さん」



私は土方さんの前に正座をして、ていねいなお辞儀をした。



土「さぞたのしんだろう、久々の故郷を」



「えぇ、それはもう。ふふっ」



土「何がおかしい?俺の顔に何かついているか?」



思わず口に手を当て笑う私に土方さんはそういった



「いぇ、鬼の副長さんもずいぶん丸くなりましたねぇ?顔が以前と全然…何かあったの?優しい目ぇして」



いたずらっぽく微笑んで土方さんをからかうのは久しぶり



懐かしい感覚



土「馬鹿言うんじゃねぇっ!!久しぶりに帰ってきていうことがそれかぁ」




近「まぁまぁ、歳、いいじゃないか」




隣にいた近藤さんが嗜める




沖「そうですよ、土方さんは固すぎ、名無しさんちゃんがかわいそうじゃないですか、あんまり怒るとはげますよ」



「そうだそうだ」


土「総司!!名無しさん!!」



総君と一緒に土方さんをからかって



怒られて



平・原・永「ぎゃはは」



3人が笑って



いつも通りの幸せなひと時



これを味わえるのは私一人



世界中の女の子が美貌・頭脳・お金をいくら使ってもきっと無理なこと。



私が安らぎに浸っていると、土方さんが何かを思い出したように、そうだ、と言った。



土「お前に紹介したいやつが居る、入れ」



戸がゆっくり開き記憶に新しい人物が入ってきた。



「えっ?…ぁな…た」



その人物はおずおずと土方さんの隣に座った



土「雪村千鶴だ、よくしてやってくれ」



千「以前から名字さんさんの事はみなさんから伺っておりました。宜しくお願いしますね」



彼女は温かみのある笑顔でそう言った。



私は、思わず眉をひそめてしまった。



あの娘に悪い印象を与えたくはない、だが、作り笑いを浮かべる余裕はない。



曇天のように心が淀んだ私の気持ちに反し、空はからりと晴れていた。



まるであの娘の笑顔の様に。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ