見上げた空は…
□好きです!先輩!!
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春がゆっくり過ぎて行く、とある日 それは突然の事だった。
ガラッ『仙蔵君…。』
忍たま長屋の六年い組の立花仙蔵、潮江文次郎の自室へ くのたま五年の蜜柑ミカンが訪ねてきたのだ。
「お前がここへ来るとは珍しいな。どうした?」
確かに珍しい事だ、こんな形で訪ねるのは。
あ、ちなみに蜜柑ミカンと立花仙蔵は幼馴染みだとか。
『…潮江先輩いる?』
「文ちゃんなら会計委員会でやり残した仕事があるとかって言ってたぞ!」
「今頃、算盤弾いてるんじゃない?」
何故か、ろ組七松小平太とは組の善法寺伊作がいる。
「二人は補習の問題を聞きに来ているだけだ、気にするな。」
…だそうです。ありがとうございます。
『そっか…ねぇ、仙蔵君。潮江先輩って…
なんであんなにかっこいいんだろう。』
What?
「はぁ!?」
「ちょ…!!」
「…冗談はやめろ。」
『冗談じゃないやい!かっこいいもん!潮江先輩!!隈なんか愛しく思えるし、ギンギンって名言だよ!?あんな旦那様いたら幸せ過ぎて倒れる!』
「……ミカン。潮江と私とどっちがよりかっこいいと思う?」
『潮江先輩(きっぱり即答)』
おもむろにミカンのおでこに手を当てる仙蔵。
「どうしたの!?」
「…やはり熱がある。こいつは熱が出ると惚れ体質になるんだ。その日、一番初めに会った奴に惚れる…厄介な症状だ。」
「それが、文ちゃんだったわけなんだな!」
仙蔵はコクリと頷いた。
「それって…惚れ薬と同じって事じゃない?熱が出るたびにだと大変な事に…って、それ小さい頃は仙蔵が惚れられたんじゃ…。」
仙蔵はニヤリと口の端を上げ言った。
「さて、どうかな?」
「仙ちゃん、いさっくん。」
「なんだい?小平太。」
「何か聞きたい事でもあるのか小平太。」
「ミカンがいないんだが。」
「「!!?」」
確かに、居なくなっていた。音もなく。
それを知るやいなや仙蔵は 立ち上がると部屋の戸を開け、左右を見渡した。
「更に面倒な事になった。」
「面倒な事って!?熱が上がったら大変な事になるのは当たり前だよ!」
「違う!必ず…
「ぅわぁぁぁぁぁあ!!!」…犠牲者が出た。」
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