ねぇ、お嬢さん
□こんにちは。
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『銀さん銀さん。』
「ぉお。」
『…これってさぁ。』
「おぉ。」
『所謂、ピンチってやつだよね?』
「ぉお。」
『さっきからなんで"お"しか喋んないのさ!てか一々イントネーション変えんな!!』
「甘いもん食ってねーからあんま喋りたくねぇんだよ。」
『あ、ポケットにチョコ入ってた。』
「しかしピンチだよな。ヤバイな。いや、マジで!」
『…銀さんてやっぱゲンキンだよね。まぁ、銀さんらしくていいけど。』
ここは地下にある牢の中。
そもそもなんでこんなとこへいるかというと、それは数時間前へ遡る。まだ私が大江戸マートで買い物をしていた頃まで。
買い物まではよかったものの、帰り道で万事屋である銀さんにばったり会い …『あ銀さんこんにちはー。』「よー、ナマエちゃん買い物?」『そうなんですよ。お茶請けのお菓子を切らしてしまいまして。』「おーありがとう。」『お前にやる菓子なぞ1欠片もない。』とか話をしながら歩いてた訳だけだが。
穴があった。それはそれは大きな。ぽっかりと空いていた穴はまるでこっちへおいで〜と言わんばかりにそこにあった、のに。
「ぅおっ!?」
ガシッ
『え、ちょ…ぎゃあああああぁぁぁぁぁ』
落ちた。というか銀さんに捕まれて私は巻き添えだった。マダオめ!こんちくしょー!
『こうゆう感じで今に至ります。ね、銀さん?帰ったら覚えてろよマダオ。』
「つかあの穴が悪いよね。明らかに悪いよね。俺は悪くないー。」
『2日前の午後、団子屋の裏で』ズシャァァァア…
「すいません。僕のせいです。ごめんなさい。」
とりあえず、ここは何処だろう。気付いたら土の中にいたんだけど、埋もれてたわけじゃなくあれ、穴。土を掘っただけの。しかもめちゃめちゃ狭いわけよ。
『どさくさ紛れにどこ触ってんだァァァア!!』
「狭すぎるよなぁ、ここ。」
『5日前の朝7時公園のベン「ごめんなさい。それ以上言わないで。」
「おい、誰かいるのか?」
お、助かった。知らない人でもいいや。ここから出して貰えるなら!
『すいませーん!助けて貰えますかー!!』
「…………。」
そしたら縄でグルグル巻かれて捕まり、ここへ連れてこられた。この流れヤバイかも。
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