短編集


□傍観がしたい
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綺麗でなければ可愛くもない、私は至って平凡な日本人の女である。女の子と言わないのは 二十歳を超えているからであって今年は更に二年目を迎える年だ。


さて、今日は飲み会の日だ。ああ飲み会と言っても表向きなだけで、裏を返せば 合コンという名の決戦の日なのだ。自分なりの勝負服に身を包み、人には化粧映えしないとよく言われる顔に化粧を塗りたくりいつもとは違う自分を作る。


待っていろ、イケメン男子!!待っていろ、素敵な出逢い!!ふっはっはっはー!!


普段は履かない高めのハイヒールを履き、準備万端に玄関のドアを開けた。

















急に明るい光りが差し、気付くと 真っ白いとこにいた。え、なんだここ。上も下も右も左も真っ白。



《こんにちはー!初めまして、僕は時の精霊です。トキって読んでください!!》


フヨフヨと目の前に現れたのは所謂マンガの中でよく出てくる妖精みたいな羽が生えたちっこいの。髪はショートカットでサリーのように白い布を巻いている。


急に出てきたものだからビックリして、言葉が出なかった。



《いきなりですが、貴女をいずれかの世界にお連れする事になりました!この中から選んで下さい!》


差し出されたのは 十枚くらいのカード。


‥‥‥いや、ちょっと待て。


『私、今から飲み会に行くからまた今度にしてよ。てか出口どこ?』


忘れるとこだった。イケメンに会うまたとないチャンス!!


目の前の精霊、トキはパチパチと瞬きを何度かした後 フッと笑みを作った。

《いや、大丈夫ですよ!飲み会の帰り道、貴女死にますから。》


そう良い放った。は?死ぬ?え?私が?何故?そんな事をポツリポツリ言うと面倒臭そうにトキは言葉を続けた。


《詳細をお話ししなければならないですか?んー…えっとですね、飲み会に行った貴女は男性陣がイケメンでない事に愕然とし飲みまくり食べまくりでフラフラになりながら帰路を歩いていると躓いた拍子に川へダイブしてそのまま死‥》

『うわぁぁぁぁあ!!もういい!分かった!!なにその恥ずかしい死に方!!?』

つまりは全て自分で招いた事。で、死ぬ運命にあると。


最初から選択肢はひとつしかない、という訳か。


カードの一枚を適当にとり、ここにしてと言った。







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