や、だよ、やだよお…っ、あつや…! あふれる涙をそのままに、アツヤのしっかりした胸板をぽかぽか叩く。アツヤはそれを甘受して、辛そうに眉を寄せる、だけ、で…、っ、 『や、だよお、っわ、わたし…!あつやとずっとずっと一緒にいる、の!あつやがいないと、わ、わた…っ』 ひっぐえっぐ、と嗚咽が止まらない。そのせいで喋りたいように喋れない。 い、言いたいこといっぱいあるのに…っ! 「白」 『ふえ、ぁっ、う、っぐ』 「俺はもう一緒にいられねえ」 『ん、ん、っふ、ぐ、ふえぁ、な、で、っ』 「お前のサッカー、やれよ」 『わ、わたし、の、ふっ、サッカー、は、あ、あつやとい、っしょ…!』 「それは違ぇだろ、白」 ぽんぽん、と落ち着かせるようにリズムよく叩かれて嗚咽が段々治まっていく。けど、涙はとまらない、増えていく一方。 「知ってんだよ、アイツらが点を求める度に自分がいらねーのか、とか。俺がシュートとられた時自分を責めてんの」 『そんなこと…!』 「あるぜ、お前の事なら手に取るようにわかる」 『っ、!』 「白、俺に遠慮するこたぁねーし、お前が大好きなサッカーを苦しそうにやる姿は見てらんねーんだよ」 いつも眉をつり上げて猛々しいわたしの弟はそこにいなく、そこにはらしくなく悲しそうに辛そうに眉を下げてるアツヤ。 目尻からあふれる水を親指でぐい、と拭いわたしを真剣な眼差しで見つめてきた。 「お前がディフェンスに拘んなくてもいい、フォワードやりてーならやればいいじゃねえか」 『で、でも、それじゃああつやは…!』 ふわ、と舞うような笑みを見せるとわたしの頭に手を伸ばし、 「俺はもう眠ぃんだよ」 くしゃ、と撫でた。 |