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□未来はいくつも可能性がある
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「なぁ円堂……別れよう」
―未来はいくつも可能性がある―
「どういう事だよ!!豪炎寺っ!!」
円堂が着替えてる途中に豪炎寺が部屋に入り「別れよう」と背中越しで言った。
「……俺が面倒になったからだ…安心しろ、明日から何時も通りに円堂に接するから……じゃあな……」
言い終わった豪炎寺は円堂の部屋のドアノブに手をかけた…。
「っ、ふざけんな………!!」
円堂は勢いよく豪炎寺の腕を掴みベッドに押し倒した。
「っ……離してくれ……円堂…」
掴まれた腕は強く握られてる為、青白くなってゆく
「くっ…円堂……痛いから……離して……」
退けようとしてもゴールキーパー故に腕力が強くびくともしない。
「……いきなり部屋に入って来て『別れよう』??ふざけんな!!やっと離れないって思ったのに……!!!っつ!…勝手過ぎだろ……っ」
豪炎寺のジャージに円堂の涙がじんわりと染み込み濡れてゆく…。
「……お前には…久遠……冬香がいるだろ………」
「!!!」
ゆっくりと口を開いた豪炎寺の目には大粒の涙が溜まっていた
「豪炎寺……??」
「ひっ…えっ、円堂はっ…久遠とっ…付き合わなくちゃっ…ぐすっ…駄目なんだっ…」
しゃくりあげながら言葉を紡いでいく豪炎寺はとても弱々しかった。
「……どうしてそうなるんだ??」
ベソをかいてる豪炎寺に対してケロリと円堂はこたえる。
「っ……それは…カノンが産まれないからっ……」
「それだけ??」
「………男同士だから……」
ジワジワと涙が溢れて零れた
「豪炎寺……」
「俺だって…ひっく…別れたくな…い…っ…」
ぽろぽろと真珠のように涙が零れてシーツに小さなシミが出来る。
「なぁ、豪炎寺」
ギュッと豪炎寺を抱きしめ円堂は呟いた
「未来はいくつも可能性があるって知ってるか??たとえ俺がふゆっぺと結婚してもそれは別の未来。何個あっても良いんだよ。いくつもの可能性があるからさっ(ニカ)」
ポンポンと豪炎寺を宥める様に円堂は頭をなでていた。
「円堂ぉ……!!」
泣き顔を見られない様に顔を押し付けながら豪炎寺もぎこちなく抱きしめていた。
「豪炎寺、海外に行こう??海外で結婚してさ、日本で一緒に暮らそう??」
豪炎寺はその言葉がとても嬉しかったがどう示せば解らないので円堂の服をより力をこめて握った。
「うん……うん…俺も円堂と結婚したい……」
またぽろぽろと豪炎寺の瞳から涙が零れていたが円堂の優しい手に拭われていった。
「ははっ、豪炎寺、目ぇ真っ赤…」
「……誰のせいだと……」
まだ涙で濡れそぼっていた目を豪炎寺はジャージの袖でゴシゴシと擦った…。
「コラ、そんなに強く擦ったら目ぇ傷つくぞ」
「すっ、すまない……」
「でもさ……ありがとな豪炎寺……すっげー嬉しかった」
「え、円堂……(ぽろぽろ)」
「あぁ!!;;また泣いてんぞ」
「だからっ……誰のせっ「豪炎寺」……」
またジャージで擦ろうとした豪炎寺の手を抑えて円堂は舌で涙を舐めとった…。
「んっ……しょっぱ…」
「えっええっ///円堂!!??」
「ホラ、もう涙止まっただろ??」
円堂はニカっと笑い豪炎寺の唇にそっとキスをした。
「ん………//円堂……」
「豪炎寺……好きだ」
不意に言われた言葉に豪炎寺は顔から耳まで真っ赤にしながらも「俺も……好き」と答えた。




(やっと幸せを手に入れたのにそう易々と奪われてたまるもんか!!もし、ふゆっぺと結婚するのが運命なら俺がこの手でかえてやる!!だって俺は豪炎寺に心底惚れたんだからな!!)
(……………馬鹿///俺も…円堂に…惚れちゃったんだよ!!)
――fin――

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