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□惚気は計画的に
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綱「今日もあの二人目立ってるね…」
土「当人達はどこ吹く風だな…」
綱「獄寺くん、すごく笑顔だ…」
土「アイツ、締まりのねぇ面してやがんな…」
二人は顔を合わせて溜め息を吐いた。あの誰にでも牙を向く獄寺が、あの常に死んだ魚の目をした銀時が笑い合い登校している。割りと慣れた光景なのだが、二人の溜め息は話の内容からくるものだった。
鼻息ヨロシク教室に着いた獄寺と銀時は各々のお目当てである人物、綱吉と土方を見つけ先程以上の笑顔とだらしない顔を見せた。
銀「いやぁ綱吉くん。君の右腕さんはとっても有能だね!」
綱「あ、うん…ありがとう…?」
獄「土方、テメェいい恋人持ったな。10代目をよく分かってる」
土「…ソウデスカ」
そう肩を抱き合う獄寺と銀時。呆れる土方と仲良くなったなぁと呆れ半分歓心半分の綱吉。
この四人が出会ったのは高校の入学式。綱吉が銀時の髪を褒め獄寺が喧嘩を売り、土方が獄寺の髪を褒め銀時が喧嘩を買ったのが経緯。教師さえ止められない”スモーキン・ボム”と”白夜叉”の抗争を制止したのは”ボンゴレファミリーじゅう「今回関係ないから!」と”鬼の副長「副部長だから、剣道部の」ことツッコミ組。綱吉が怒り、土方が頭を引っ張たけばそこで終了。険悪ムードは残ったままだったが、銀時が綱吉を称賛した事により相方の褒めちぎり合いに発展。からの自慢大会。そして仲良くなった。
今日もまた綱吉がどれだけ格好よく素晴らしいか、土方がどれだけ美しく可愛いかの会話を声高らかにしてきた。
土「オメーら、人に聞かれて恥ずかしくねぇのか」
銀「全然!むしろ言いたい俺の恋人だって知らしめたぁぁぁい!」
土「うるせぇぇぇ!!クソ天パのせいでクラスの奴ら知ってんだろぉがぁ!」
銀「足りねぇんだよぉ!モッテモテの恋人を持つ銀さんの気持ち考えろぉ!」
獄「分かる、分かるぜその気持ち…!誇りに思う反面10代目に馴れ馴れしくしがって…!」
綱「え、トシさんはいいとして俺モテた覚えないんだけど…」
土「諦めろ、沢田。コイツらに何言っても無駄だ」
綱「そうだね…。行き過ぎないように見張っとこう」
土「ああ。いざとなったら殴ろう」
健全な内は諦めた二人だが雲行きが怪しくなると引っ張たく準備に入る。
などと軽くやっている様に見えて出来るのは綱吉と土方だけ。理由は外見を見れば明らかで、獄寺と銀時は一見近寄りがたい。獄寺はサラサラストレートの銀髪に碧色の眼、銀時はクルクリ天パの銀髪に紅色の眼。色んな意味で全校生徒周知の二人に近付ける綱吉と土方も有名になっている。こちらも意気投合したようで、また恋人自慢に入った問題児で愚痴り合う。
綱「あー言ってるけど銀さんもモテるよね」
土「アイツ自分はモテねぇつっても慕ってる奴多いんだよ。中にはマジなんもいるしな」
綱「銀さん面倒見いいもんね、しかも無自覚」
土「…無自覚といやぁ沢田もモテてんじゃねぇか」
綱「いやあれは獄寺くんが話を大きくしてるだけだから!ダメツナの俺がモテるとかないない!」
土(そうか…自覚ないってホント質悪いな…)
顔だけで寄ってくる輩と、本気で好意を持つ相手がいるのに気付かない。同じ悩みを持つ者としてそこは獄寺に同情する土方だった。
などと話してる間に怪しくなってきた会話に渇を入れた。
銀「何すんだよ土方〜!せっかく盛り上がってたのに〜!」
土「学校で際どい話してんじゃねぇ!」
獄「10代目ぇ!これからって時なんスよ〜!」
綱「だから止めたんだよ!される身にもなって!」
銀「チッチッ、ツナさんよ、高校生と言ったらエロ話と決まってんだアダ!」
土「テメェの偏見だバカ!」
綱「なんで獄寺くんまで食い気味なの…」
獄「これほど10代目とオレが運命の相手だと分かってるのは坂田だけなんス!」
綱「よく飽きないねっ」
土「しかも獄寺てめぇオレがこのクソ天パをどれだけ好きとかマジない事ほざくな」
獄「土方、この世はギブアンドテイクだぜ?それにオレは本当の事しか言ってねえ」
銀「そうだぞ十四郎〜。ウソ言っちゃいかんぞ!」
土「激しくウザい」
銀「イタイイタイ!髪引っ張らないでっ、ハゲちゃうから!」
綱・獄((激しい照れ隠しだな…))
それが土方の乱暴な照れ隠しだと二人は勿論、銀時も知っている。更には土方もバレてると気付いてる為より激しい愛情表現に。止めるのは綱吉の役目。