その他小説
□共に在る
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俺の土方は…俺の、恋人の、土方はカッコいい。艶の良い黒髪、サラサラでずっと触っていたくなる。整った鼻筋、噛みたい舐めたい。タバコを吸うふっくらとした唇は俺には苦くて、でも甘味と同じくらいクセになる。彼の声で囁かれると、痺れて動けなくなる。身体はしなやかなのに筋肉がついて獣みたい。
最後は俺の一番好きなとこ、切れ長な蒼黒の眼。見つめる瞳は俺の全てを見通していて、好きだと毅然と教えてくれる。ずっと、見ていられる。
「 ………銀時 」
「うん?なに?」
「そういうのは万事屋でな」
「 ん、ごめん 」
困ったように笑う瞳もずうぅっと見てられる。今食べてる団子がすっげぇ美味い。でも怒られちゃったなぁ、やっぱ外だと目立つからダメか。
いつもの甘味処で土方とデート。二人で団子を食べてる間ジッと見て、たまに会話して、食べての繰り返し。俺は気になんないけど、周りがざわついてるらしいから土方が待ったをかけてくる。けど土方は万事屋でって言った。いいのかな?もしかして仕事お休みなのかな、と期待して見つめてみる。カッコいいなぁ。
「…銀時、ゆっくり食べていいから早く万事屋に帰ろう」
「土方は団子もういいの?」
「ああ、色んな意味で腹いっぱいだ」
「 そっか 」
「ああ……。だから団子寄越せ、オレが食わしてやっから」
「ふふっ、うれしい」
したいこと、して欲しいこと全部分かってる。ゆっくり土方を見つめるのも好きだけど、いつからか食べさせてくれるようになった。土方の大きい手が団子を口元に持ってくる。腕だけじゃなく、ちゃんと身体を寄せて様子を見ながら。
俺はというと。土方の眼が近くで俺を映してる、黒く、蒼く、吸い込まれる…。やっぱり見つめちゃって「 コラ 」と怒られた。見るの禁止とも言われた。土方は時々イジワルだ。目を瞑れと言われたから渋々従う。団子は美味しいけど、土方が見れないのつまんない。
「んな顔すんな。ほら、食ったなら行くぞ」
「 土方不足で泣きそう 」
「帰ったらやるから。我慢できねぇなら袂掴んでいいから」
だから黙ってなさいと釘をさされた。外じゃくっつけなくてつまんない。袂だけじゃ全然足んないけどこれでガマンガマン。…でも匂い嗅いじゃダメかな?…あ、ダメっぽい、眼で怒られた。だからカッコいいすきって眼で言ってみた。溜め息吐かれたけど嬉しそうに笑ってくれた。
…抱きつきたくなっちゃった。早く帰ろ、の意味合いを込めて袂を引っ張る。土方も帰ろうと言って、俺の家、万事屋へ並んで歩いてく。
――――――
「 ―土方といると長かったり短かったりする 」
「オレも同感だがちょっと待てまだ玄関」
「今日は一段とながいぃ…とおーいー…」
「後ちっとだから泣くなよ?もうしがみついていいから、な?」
「ん…じゃあ布団の中で泣く」
「あー…直行するか」
甘味処から万事屋までくっつけないし土方も見れない。例え着いても座るまでお預け。人目のつかない場所まで距離は長く抱き締め合うと短い。時間の感じ方は土方が居る居ないで全然違う。だから少しでも長く傍にいたくて、くっつきたくていつも布団になる。
土方は俺の気持ちと子ども等が居ないのを察してすぐに寝室に。土方は座ると開いた両足の片方を立てる。俺が座りやすいように。へへ、俺の場所はそこ。土方の立てた足を背もたれにして寄り掛かる。