その他小説

□私も、貴方と
1ページ/3ページ


麗らかな日の歌舞伎町、穏やかに過ぎていく時間と人の流れ。そこに穏当とは無縁の二組が鉢合わせた。万事屋の坂田銀時と真撰組土方十四郎。同じく万事屋の神楽と真撰組隊長沖田総悟。会ってしまった事に狼狽えるのは地味's、紹介は省略。

今日は騒がしくなるのかと周囲が諦めた所で動いたのは銀時。土方の元へ一歩進んで表情を覗き、様子に訝しむ。


「よぉ税金ドロボーさん。今日”は”眠そうねぇ」

「別に、これぐれぇどうってことねぇ」

「……土方くん。ちょっとこっち来てくんね?」

「ん?なんだ」

「……おいジミーてめぇコノヤロー」

「ひいぃぃぃ!旦那めっちゃ怖いです!!」


けれど今回、喧騒は始まらなかった。理由は土方にある。銀時が立腹しているのもそこだ。何時もは喧嘩を売れば即買いなのだが反応は乏しく、素直に言う事を聞いてる時だ。二つから分かるのは、土方が寝不足であるという事。

銀時は土方が無理をするのが嫌いで、容赦なしの怒気を原因の二人に向ける。戦慄いたのは地味'sこと山崎で、怯みもしない沖田は機嫌を治めるべく土方の背を押して銀時に差し出す。


「旦那ァ、明日の非番ごとやるんで許して下せぇ」

「ふーん…。今日で何日目?」

「まだ二日目でさァ」

「まだじゃねぇから。…ハァ、今回は許してやるけどゴリラによ〜く言っとけ。三日は寄越せって」

「ぜ、善処します…」

「 取りあえずミントンぶっ壊すわ 」


酷い!と叫ぶ山崎を無視して銀時は土方の背中に掌を当てる。そこに成り行きを見守っていた神楽と新八は心配そうに土方に近寄る。子ども達を安心させる為土方は笑って答える。子ども達はホッとして神楽は土方の腕に抱きついた。今度は沖田と山崎が成り行きを見守る番。


「銀ちゃんワタシたちどうするネ?姉御んとこに泊まるアルか?」

「そうだな…。土方はどうしてぇ?」

「あー…?晩メシ前にはかえってこいよ」

「だそうだ」

「しょ、しょうがないアルなー。一緒に食ってやるネ!」

「あ、じゃあ何食べたいですか、土方さん」

「んー……四人でくえるやつ…ナベとか」

「そうねぇ、家族で囲めるやつが良いよねぇぇ」


デレデレニコニコと聞こえてきそうな三人に後はよろしくと沖田と山崎が去る。新八と神楽もまた後でと道場の方へ、銀時と土方は万事屋の方へ歩いていく。足取りが覚束ない土方の腕の裾を掴んで移動を促す。

今日は大丈夫そうだなと町人達も安心した様子で流れていく。万事屋までの道程、二人とも無言だったが玄関を閉めると銀時の説教&お世話タイムの始まり。


「土方〜?この前言ったよね?完徹は止めろって」

「し、仕事がたまってると気になんだよ」

「んなこたぁどうだっていいんだよ。心配かけてごめんなさいは?」

「うっ……す、すまねぇ」

「ったく。それでケガでもしてみろ、ゴリラと総一郎くん含む全員フルボッコだからな」

「…それはそれで、」

「 いい鍛練になるつったら土方くん監禁の刑 」

「なんて思うわけねぇだろジョーダンだ」


居間でお説教の間にスカーフを抜き取り上着を脱がす。ベルトを外しそれらをハンガーに掛ける。次にくるのはどこぞの新婚会話。


「風呂にする?小腹空いてんなら何か作るけど。それとも〜銀さんにする?」

「ふろは後にするとして…メシはアイツらと食うし、坂田にする」

「ん、俺をどうしてぇ?」

「そーだなぁ…今日は抱きまくらにする」

「ハイハイ、布団行こうな」


銀時は土方の背中を押し自分の寝床へ。土方が寝転ぶと銀時も着流しを脱ぎ隣に。土方が後ろと言うと銀時は背中を向けて横たわる。土方は後ろから腰を抱き締めて天パに顔を埋める。吐息にくすぐったそうに小さく震える銀時のインナーから覗く素肌。吸い寄せられたのか土方は首筋を甘噛み。


「ムラムラしたらどーしてくれんの?」

「せきにんはとる」

「寝惚けてる人に言われてもねぇ」

「んー、これがあかしな」

「んっ、あーも〜っ」


かぷかぷ噛んだ後首筋に吸い付く。痕がついたか見る為に寝惚け眼を開き赤い印があるのに満足し息を吐く。それにも反応した銀時は声を出し腰にある土方の腕を軽くつねる。
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ