その他小説
□夜は帳
1ページ/2ページ
武装警察真選組屯所の大広間、大仕事を終えた隊士達が酒盛りをして騒がしい。その中に異色の三人が。
腐れ縁でお馴染みの万事屋の三人が各々、銀時と土方、神楽と沖田、新八と近藤、山崎と分かれている。神楽と沖田は器用に食べながら喧嘩をし、地味コンビは近藤の暴走を止めている。肝心な騒ぎの元、銀時と土方はというと―
「なぁ、やっと仕事終わったの?」
「ああ。後は書類を片付けたら近々休める」
「えー…。まだゆっくり会えねぇのかよ」
「区切りがついたら一日休めっから、それまで我慢しろ」
「ん〜……。今日は泊まってくからな」
「そうか、一緒に寝るか」
「うん」
ゆったりイチャついていた。険悪ムードのない二人の隣には空になった酒瓶がある。酔いが増し、会えない時間が長いとふわりふわりと相手に触れ確かめあう。最近はこの姿も普通となり周りは全く気にしていない。
邪魔者がいない二人は隣り合わせに飽き、銀時は土方の足の間に座る。銀時は凭れながら酒を呑み、土方は片手を腰に回し酒を呑む。合間に擦り寄ったり指で触れたり好き放題。それでも銀時は不満のようで。
「ひじかたぁ、お酒のませてー。口移しがいいなぁ」
「止まらなくなったら悪酔いすっから駄目だ」
「じゃあ水はー?」
「部屋に戻ったらな」
「んーとぉ…あ、ゴミ付いてる。取ったげるから目ぇつむって」
「オメェの顔見れねぇからダメ」
「だいじょーぶ!一瞬だからっ」
「ゴミ取るんだよな?」
何としてもキスしようとする銀時を土方は笑ってあしらう。勝手にやってろな二人を追い出す為、山崎は影の如く水を差し出す。にこやかに受け取ったのは銀時で、腰にやっていた手を掴む。抵抗する気のない土方と早々に宴会を後にした。迷惑なバカップルがいなくなった場は勿論の事大騒ぎであった。
――――――
「ふふー、ひじかたくんのお部屋〜」
「オレは着替えっから適当にしとけ」
「んじゃ俺も下脱ごっかな。ついでに布団しいとくねぇ」
「頼む。―はぁ、やっとゆっくり出来る…」
「お疲れさま。銀さんで癒されるといいよ」
銀時はインナーを脱いで白い着流しを、土方は制服を脱ぎ黒い着流しを着る。勝手知ったるや、襖を開け寝具を用意して土方が座ると先程と同じ様に足の間に。土方は空いた両手で強く抱き込みふわふわ揺れる天パに鼻を埋める。クスクス笑い、身を捩り唇に可愛らしいキス。
「忘れる前に水のもうな」
「ハーイ。さぁ来いすぐ来い早く来ねぇとぐずるぞー」
「もう既にぐずってんだろ。全部飲ませてやるから少し待て」
「長期戦かくごしろってかドンと来いってんだコノヤロー」
酒の力が入ってるのか楽しそうに二人は笑う。その口を土方が水を含んだ口で塞ぐ。「ぬるいー」と言いながら何度も受け入れる。飲みきれなかった水が伝うと指で拭いまた送る。苦しくなったのか最終的にペットボトルを傾けて飲ませていた。
「もう息あがったのかよー」
「温いつったのは誰だ。ほら、ボトルしっかり持て」
「のましてくれるつったもん。それに銀さん酔ってるから零しちゃうかもしれないしぃ」
「酔ってる、ねぇ…。まぁそうしねぇとなぁ…此れはな…」
「そーねー…。でもねぇ、俺はもういいんじゃないかって思います」
「それは、バレてる的な意味でか」
「そぉそぉ。おめぇだって酒さめてんの気付いてたろー?」
背を向けていたのをよろける事なく正面に変え、土方からボトルをしっかり受け取り飲み干す。土方ももう一本の水を飲む。半分程減ったところで銀時が奪い取る。その際に零れた水を舐め唇に吸い付く。お返しと言わんばかりに土方は銀時の舌を食む。吸って絡めれば、酒とは違う恍惚の表情に。