その他小説

□平和が一番なのです
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今日も部活や登校の生徒で賑やかになる時間帯、よりもっと後。いつも遅刻ギリギリに来る生徒が三人いる。一人目は沢田綱吉、二人目は坂田銀時、三人目は黒子テツヤ、高校名物の遅刻常習犯である。

と言っても実際は銀時が起きるのを渋り、二人が奮闘(主に綱吉)して何とかギリギリを保てている。銀時は欠伸をしながら歩き、黒子は器用に本を読んでいる。その中で唯一焦ってるのが綱吉。それもそのはず、正面には随一の権力者雲雀恭弥と、鬼教師と呼ばれる土方十四郎が立っていた。鋭い目付きに綱吉だけが戦慄く。


土「坂田、沢田、黒子は今日も遅刻か」

銀「えー、まだ予鈴鳴ってないよ土方せーんせ」

雲「僕達が立ってる時点で封鎖なのは知ってるでしょ」

綱「す、すいませんヒバリ先生っ。銀さんが起きなくて…」

雲「言い訳はいいよ。…ちょっと黒子、通り抜けようとしても意味ないからね」

黒「承知してますから中に入りませんか?」

土「決まりだからしょうがねぇ。もう諦めろ」

綱「あの先生だよね…」

銀「ガン見してますねぇ…」

黒「目を合わせなければ大丈夫です」


雲雀は三人の生徒手帳を回収して「後で応接室」と去っていき、坂田は土方にまとわりついて、黒子は保健室の窓からくる目線をひたすら逸らす。予鈴が鳴ると土方は坂田をひっぱたいて戻っていき、綱吉は頭をさする銀時と不自然な視線の黒子を連れて教室に行った。クラスメイトにからかわれるのも羨ましいと言われるのもいつもで、それも然り。今し方三人を相手にしてた二人と、保健室から覗いていた氷室辰也と言う先生達は校内どころか町内、県外で色んな意味で有名なのだ。

一番は外見。誰もが美人、イケメン、エロい(銀時談)と評判の教師陣。短髪で艶のある黒髪、切れ目に流し目と顔のパーツは全て整っており、身体も怠惰とは無縁。眉目秀麗な教師に花を咲かせる中、最も関わってる遅刻組も話題は同じ。


銀「今日もエロかった…!」

綱「今日も怖かった…」

黒「……」

綱・銀「「 見つかってたね 」」

黒「見すぎだと思うんです」

銀「羨ましーんですけど」

黒「帰国子女だそうです」

綱「あの人学校の先生してちゃダメな気がする」


話題は同じなれど内容は違う。綱吉は怖々と雲雀恭弥に、銀時は前面と土方十四郎に、黒子は呆れながらも氷室辰也に、恋をしている。


銀「あんな美人でオープンエロな先生にラブビームされるとかいいじゃんスゲーじゃあん」

綱「いやいや!もうちょっとオブラートに言った方がいいんじゃないっ?」

黒「あの先生はアメリカ式ですからライクがラブに見えるんですよ」

綱・銀「「いやアレはどう見ても…」」


そう話す黒子と氷室の経緯は、黒子の友人、火神大我が原因。意地っ張り同士の兄弟喧嘩を仲裁したのが切っ掛けだ。後も何かと喧嘩、度々仲裁に入るを繰り返す内に気に入られたと黒子は言う。先生が過剰だからそう見えるのだと。

黒子とは別の意味で溜め息を吐いた。他者を見る眼は鋭いのに自分については無頓着なのだと…。だかそれは−−


黒「僕の事より、銀さんはどうなんですか?」

銀「ど、どうって?」

綱「この前告るぞー!とか言ってなかった?」

銀「あ、あーあーアレねぇ…」

綱・黒「「 ……してないんだ(です)ね 」

銀「だっ、だってええ!あんなにスキスキアピールしてもサラッと流されるんだよっ?せんせぇの髪みてぇにサラサラッとぉ!」


そんなにアピールしてたっけと二人は首を傾げる。

銀時と土方の経緯は簡潔に言えば入学式で銀時が一目惚れ。抱きついたりセクハラしたり、挙げ句の果てには鼻息荒く「ヤらせて」と決め顔。それらしか浮かばない二人はただのエロガキと厳しい一言。ショックを受け項垂れる銀時を尻目に二人は顔を合わせて笑った。後の二つはともかく、抱きつくのは土方も満更ではないのだと知っている。銀時も存外自分に関して疎い。そして最後の一人−−
 
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