その他小説

□もっふもふ
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銀時の家に大体強制的に住む事になって一ヶ月。前と変わらず日々を平和に過ごしている。今日までは。


「 −…トシくん 」

「 …ハイ 」

「 俺抜きでアイツらに会うの禁止ね 」

「え、と、す、いませんした…」


今のオレは怒られていた。とても綺麗な笑顔で(恐い)。何故そうなってるかというと、数十分前に遡る。

準備室で銀を待っていたら入って来たのは銀時の昔馴染みの高杉と桂と坂本先生。オレが一人でいるのを見て「アイツはいねぇのか」と三人とも姿を変えた。高杉は紫色の着物で犬耳と尻尾が。桂は姿形は変わらないが着物が霞がかってる。坂本先生は僧兵の服で黒いデカい羽が生えてる。最初は驚いたがそれだけ。けど、銀時なしで会うのは初めてで…ふさふさサラサラもさもさ。

「触らせろ」と同時に触った。何も言われないのをいい事にふさふさもさもさしてたら銀時が帰ってきて、やる気のない顔が引き攣った。開口一番。


「 と、トシくんの…っ、浮気者ォォォ!!

「はっ!?ちょっ、先生声でけぇぇぇ!


怒った銀時を止める術はなく、追い出される三人を見送るしかなかった。シッシッと追い払った後はきちんと鍵を閉め振り向いて笑顔で「そこ座れ」。そこから冒頭の説教、というには甘い感じ。理由は銀時が座ってるのはオレの膝。


「なんだよー、俺だけじゃ不満なわけぇ?」

「いや、その、銀とはまた違ったアレで…つ、つい」

「…浮気だ浮気。もう触らせてやんねぇから」

「えっ、それは…」


この体勢で言うのか。今まさに抱き締めようかの時に。触るなとかもふるなとかオレが言う事聞く筈がない。


「無理だ、触りてぇ」

「潔いっ、知ってたけど!」

「触りたい盛りの高校生にそれは酷だぜ、銀」

「ん?や、えっ?合ってる、ような?」

「合ってる合ってる。二つの意味だから」

「ふぎゅっ。ああんもぉトシったら!分かってたけど!」


つぅか膝の上に座った銀時が悪い。触ってくれと言ってるようなもんだ。勿論ほっぺや太股を撫でた。次は首や腰を、今はまだ人の姿なのでそこらを重点的に触った。可愛い声出た。銀時は叫んだ後、オレの肩にきた。何やら匂いを嗅いでる。


「何か臭うか?」

「…俺と高杉とヅラと辰馬の匂いがする」

「もしかして、ヤバい?」

「あー…真面目に言うと人間からこんな臭いしてると喰われちゃうかも」

「現在でもそんなんあんだ…」

「 他人事じゃねぇから 」


「真剣に聞きなさい」と姿勢を正された(体勢は変わらない)。いつになく真面目な表情に背筋が伸びる。

銀時が言うには、最近でも理性を無くした低級が神隠しを起こすらしい。「ここら辺はねぇのか」と聞いたら「俺らがいるから」とのこと。その大妖怪の匂いをつけてる人間=特別と勘違いする輩が出てくるかもしれないと。


「アンタらすげぇんだな」

「あれっ?話聞いてた!?」

「ああ。オレどうすりゃいいんだ?」

「危機感ないんですけどォ!」


そう思うけど。「銀時が何とかしてくれんだろ」と、そっちの方に安心してるから危機感も何も無い。どちらかと言うと銀時の方が…オレが喰われると言った時の方が脅威だ。知らない奴が見たら震え上がるんじゃないか?


「 ああ〜。そぉだよねぇ… 」


ニタァァァ。おっ、今のは別の意味で恐ぇ。狐成分出てる。


「明日はお休みだし、トシくんをお仲間にしちゃおっかな♪」

「遠出でもしようかみてぇなウキウキっぷりですね」

「うふふぅ、怖くねぇよー?ちょっと人間捨てるだけだから」


あと、軽っ。三分で済んだらどうしよう。


「な・の・で、トシくんの午後の授業はお休みでーす!」

「あっそだ、授業、」

「お休みです。はい、力抜いてー」

「 此処で出来んの!? 」


もう一回言うけどココ準備室!

場所は全く関係ないのか、体勢もなのかそのまんま掌で眼を隠してくる。眠気に誘われ瞼を閉じれば…−。
 
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