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□今日も貴方に逢えた
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−生徒からの礼。それは教師冥利に尽きる出来事だ。今し方、自分に起こるとは嬉しい限り、なんだが、礼の品が異常。オレが受け持った問題児ばかりのクラスで言葉と共に貰ったもの。ものと言っても物ではなく、者。

準備室の椅子にちょこんと座り、オレの反応を窺うクラス一、校内一の優等生の銀髪天パで紅い眼な珍しい容姿をした坂田銀時を、生徒達から頂きました。


「 いや、駄目だろ! 」

「先生、どうかしたんですか?」

「なんでもねぇ、気にするな」


半ば押し付けられた生徒は、何の疑問を持たずにここに居るのか。焦らず騒がず嫌な顔もせず目が合うと笑う。オレも返した、苦笑いを。でも嬉しそうにパッと華やいだ。そして素早く傍に来る。


「お手伝いしましょっか?」

「…大丈夫だ。戻ってもいいぞ」


自ら(?)教師の雑用を手伝いに来るできた生徒を帰すのは忍びないが、生憎間に合ってる。普通なら解放されて喜ぶ、と思っていたら目に見える落胆っぷり。初めてだぞこんな反応。


「で、でも土方先生、俺Z組の代表だし、」

「んな制度聞いた事ねぇよ。坂田だけにすんのは可哀想だしな、まんべんなくパシ…お手伝いさせてやる」


強制には見えなかったが、クラスメイトを差し出すたぁいい度胸だな、アイツら。そんなに構って欲しいなら日直順にパシリこんでやろう。

アクの強いオレの可愛い生徒どもをどうしてやろうかと思案してると、腕を引かれた。何にと言えば一人しかいなくて。坂田の表情は照れ臭そうに微笑んでいて。


「 土方先生。俺が皆に頼んだんだ 」

「は?なんでまた」

「あ、あのね。俺が、土方先生と一緒にいたいから」

「は……」


え、は、は?先生と、一緒にいたい?え、これは、え?慕われてるっつう事だよな?告白的なもんじゃねぇよな?照れ臭いのか吃りながらも真っ直ぐ見てくる様はソレのようで。

いや待て、オレは男で、坂田も男だ。憧れの線か。面と向かって言うのは勇気がいる事だ。真面目に答えてやらねぇと。


「 そ、そうか。ありがとな 」


女子からなら多いものの、男子からは素直な好意をあまり受け取らない。まさかこんなハッキリ言ってくる奴がいるとは。感動を覚えたオレは本当に可愛い生徒の頭をわしゃわしゃ撫でる。ふわふわな天パが指に絡んで気持ちがいい。


「へへっ。先生にされんの、嬉しい」

「可愛い事言ってくれんじゃねぇか」

「わぁ、わぁっ。土方先生に褒められた」


…よくもまぁ捻くれず育ったもんだ。今まで何人もの野郎を見てきたがこんな喜び方初めてだ。ところで腕はいつ離すんだろうか。添えられてる腕に擽ったさを感じながら誤魔化すように強くわしゃわしゃ。


「ホント嬉しそうだな」

「だって、先生が撫でてくれるから。それに、初めて出会った時のこと思い出すんだぁ」

「あー、お前が迷子になってたやつか」

「土方先生、優しく手を引いてくれて、カッコよかったです」


…迷子を引率しただけの行動のどこがカッコいいんだ。
 
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