その他小説
□腹を括りました
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「 あ、土方 」
「 よ、万事屋… 」
いつだっただろうか、コイツの態度が変わったのは。
「昨日寝る間もないつってたから手軽に食える物作ってみたんだけど」
「お、おう。悪ぃな」
そう受け取った袋の中は容器と水筒。
この前呑みに行くと鉢合わせ、会話から拾い、奢りのお礼と渡してきた。あまりにも驚いてからかうのを忘れ素直に受け取った。その時の照れた表情にも驚いて妙な空気が流れてしまった。居たたまれなくなったので場を離れた。中身はただの握り飯。仕掛けはないかと恐る恐る口に入れると予想外に旨かった。しかもオレ好みの味(ツナマヨ)。次の呑みで、また頼むと言うと赤くなった。しょうがねぇなと満更でもなさそうに。
今は握り飯から随分なグレードアップ。
「今回は豚汁ね。野菜もマヨネーズもたっぷりだから」
「ほう、旨そうだな」
「ソレはお前だけだからね」
「 マヨをバカにすんな 」
「 いや、お前をバカにしてる 」
「ならいい」
「いいのかよ!」
いつもの言い合いも二人になると棘がない。こっちも同じで、更に旨い飯があるとなると気分も上がる。団子奢れに若干イラついたが雰囲気を壊すのも野暮なので奢ってやった。
「あれあれぇ〜?税金泥棒さんこんな所でサボってていいんですか〜?」
「ああ?その金で食ってんのは誰だ天パニートが。オレは休憩だ」
「何度も言うけど自営業だから!あと天パを悪口に組み込まないで!」
「お前から天パ取ったらなんにも無くなんぞ」
「なっ!てめぇコノヤローサラヘア自慢してんのか!」
「うわっ、てめっ、なんしやがる!!」
お前も天パにしてやると髪をぐしゃぐしゃにされる。流石にムカついて仕返しに天パをもっと爆発させてやる。
その途中、万事屋との距離が近いことに気付いた。普段は間に団子三皿以上空いてる筈が、今は一皿分しかない。気付いちまった。我に還るんじゃなかった。意識するな、たまたま、近かっただけだ。…いや意識って何だ。
「 ぎぃやぁぁぁ!いやぁぁぁァァ!! 」
「 叫ぶだけかよ!誤解招くから黙れ! 」
強めに頭を叩くと、不貞腐れながら黙って団子を頬張る。赤くなってるのは見てない。見てない。
多少気まずさがある中、静かに時間が過ぎる。然り気無く二皿三皿頼んでる万事屋にツッコむ気力はなく、自分の団子を片付ける。茶を飲んでる途中、バクバク食ってた万事屋の手が止まる。気になって横を向く、んじゃなかった。ちっかい!