その他小説

□先生とは何か?
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この高校には三人のアイドルがいる。スポーツ万能、頭脳は其々だが、其れを凌ぐのが容姿。モデル顔負けの端整な姿に学園中の女子生徒のハートを鷲掴みし、気さくで面倒見の良い事から男子生徒にも人望がある。

その三人の名前は、山本武。土方十四朗。黄瀬涼太。学内問わず、郊外でも知られている人気者である。三人の学園アイドルは、ある秘密を共有する仲なのだ。


−−−−−−


銀「 綱吉先生ー、土方くんが可愛すぎて辛いです 」

綱「 頑張って生きて下さい 」

黒「 綱吉先生、黄瀬君の躾を手伝ってくれませんか? 」

綱「 自分のわんこで手一杯です 」


カウンセラーこと沢田綱吉の居る教室に相談しに来ているのは、古典教師の坂田銀八と、現代国語教師の黒子テツヤ。生徒より入り浸る教師二人と、毎日聞かされる問題をスルーする計三人の教師は同じ悩みを持つ。


銀「今日も土方くん達来っかなー」

黒「ミーティングはないと言ってましたけど」

綱「もうすぐ来ますよ。山本がメールで言ってました」


ほら、と綱吉が廊下を指すとドタドタ何人かの走る足音が聞こえてくる。銀八は喜びを表し、黒子は笑みを浮かべながら溜め息を吐いた。

騒がしい音はドアを開ける音で止む。息を切らして顔を覗かせたのは、アイドルと呼ばれる三人組。山本、土方、黄瀬は、お目当ての人物を見つけると笑顔になり準備を始める。


土「 鍵閉めたぜ 」

黄「 カーテン閉めたッス! 」

山「 よーし!突撃なのなー! 」


山本が掛け声を上げると、おー!と黄瀬が呼応する。突撃の名の通り、山本は綱吉へ、黄瀬は黒子に飛びかかる様に抱きつく。顔色を変えず二人は抱き止める。黒子は直ぐに離しなさいと黄瀬の頭を叩き、綱吉は山本の頭を撫でる。銀八は…−


銀「ひ、土方くんが来てくれない…!」

土「 …っ 」


銀八は覚って両手を広げて土方を待っていたが、当の本人は全く動かず真っ赤になって俯いている。チラリと見るものの、銀八と目が合うと引いた赤みが戻り目線も戻る。


黄「土方っち〜、勢いで行こうって決めたじゃないッスか〜!」

土「っかたねーだろ!恥ずかしくって出来っかよ!」

山「土方がしてぇつったのなー」

土「だあぁぁ!言うな!!」


黄瀬と山本の言い分に赤いまま怒鳴り散らす中、土方がしたいと言った言葉に銀八は胸を押さえる。息苦しそうにする銀八に土方は焦って近付き、何と言おうか悩ます表情をする。だが、綱吉と黒子は何かを察し成り行きを見守る。


土「せんせいっ?どうしたんですか!?」

銀「…ひ、土方が可愛すぎて生きるのが辛いです…!」

土「 せ、っ!? 」

銀「綱吉くん…っ、先生どうしたらいいっ?」

綱「抱き締めたらいいんじゃないですか?」

銀「 それだ! 」


いつもの発作が始まったと綱吉は適当に助言する。その言葉に翻し、一気に元気になった銀八は自ら土方を腕に閉じ込める。最初は固まり戸惑っていた土方も、ゆっくり背中に腕を回し肩に額を乗せる。またもや悶えた銀八が声なき声で唸る。


山「やっぱ先生からになったのなー」

綱「ラブラブなんだから土方君もしてみればいいのにね」

山「オレも負けねぇのな!なっ、ツナせんせ♪」

綱(ラブラブって言うより懐かれてる…?)


犬に例えれば尻尾を全力で左右に振っている状態の山本。擦り寄る姿も犬そのもので、銀八と比べたら微笑ましい。取り敢えず頭を撫でておけば喜ぶからと綱吉は何も言わず手を動かす。
 
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