その他小説

□年の差って萌えるよね
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まさかこの歳で一目惚れするなんてなぁ…。しかも教え子で、男!何なの俺、欲求不満なの?女に飢えまくった結果が男なわけ?銀さん淡白な方じゃなかった?アイツ見るだけでムラムラすんだけど。学校でソレってヤバくねぇ?

曲がりなりにも先生の俺が、生徒の、自分の教え子である土方十四朗くんに惚れたお話です。


(いやー、今日もカッコいいわぁ)


また女の子に告白されてる。丁度、校舎裏に接する準備室の窓からいかにもな雰囲気の男女が見える。可愛い部類の子を相手にしている容姿端麗なモテキング。誰もがイケメンと判断するのが土方十四朗。受け持ちの生徒。

その無駄にカッコいい顔を崩さぬまま断ってんのかと思うと笑えるが、たまに腹立つ場面に遭遇する。潔く引く子はいいが泣き出す者もいる。そのまま走り去ればいいのに、その場に留まって声を出して泣く。そんな女を土方は放っておかず、背中をさすって慰める。


(優しいねぇ…)


惚れた理由の一部だとしても、その優しさは相手にとって残酷で勘違いの元だ。まぁそれは置いといて、何で俺がスキ好んでこんな胸クソ悪い場面を見てるかというと、


( そろそろかな? )


泣き止んだと見計らったのか、土方の顔が上を向く。助けてくれと、方眉を下げて眼で語る。俺と土方くんだけが分かる合図。来い来いと手で招くと、ホッとした表情になる。視線を戻すと女の子に何か言いその場を逃げる様に去っていった。


( かーわい )


安堵した時の柔らかい笑みは心許した者にだけ。きっと告白してきたどの女子も見ることは叶わない。

さて、もう外を見る必要はない。アイツが走ってくるのを飲み物でも淹れて待っとくか。


−−−−−−


「−はぁ…助かりました」

「おモテになるこって」

「先生は楽そうですね」

「コーヒーぶっかけるぞ」


悪いと謝る気のない謝罪に若干イラッときたが準備室を汚すのは色々面倒なんで普通に渡す。椅子に座る俺の隣に来て机に腰掛ける。ふぅと溜め息をつく姿は只のイケメン。残念な所もあるのに、残念な所も多いのに。


(その残念な土方にきゅんきゅんしてるヤツだけ告ってこいよな)


それでOKしたら困るけど。やっぱきゅんきゅんすんのは俺だけでいい。残念な、マヨラーとか瞳孔とかマヨラーとか…。


「いてっ。何、折角助けてあげたのに暴力振るうの?」

「アンタな、失礼なこと考えてんじゃねぇよ」

「あり?なんで分かったの?」

「やっぱ考えてたんじゃないスか。天パ教師の癖に」

「天パ関係ないよね!?」


とか何とか文句言いながら天パ撫でまくられるのが俺と土方の一連の動作で、もう一パターンある。言わずもがな、黒くてサラサラの土方の髪を撫でまくるのが至福の時。

土方の性格上、誰にでも触らせるタイプじゃないと分かってるからきゅんきゅんだっての。安い?うるせぇよ。土方の前では恋する乙女なんだよ。おっさんが?とか言うなよ気にしてんだから。


「バカにしてっけど先生の天パ好きだろ。大好きだろ、先生が

「 天パ"は"好きです。天パ"は" 」

「ひどっ!二回もっ、しかも強調しなくてもいいじゃない!」

「顔を埋めたいくらい好きです、天パは」

「三回目っ!先生ショックゥー!」


なんて、ショックはポーズで、この空間に酔ってる。まぁソレも土方がホントに顔でモフりやがったんで現実に帰ってきたけどな。スリスリってお前のキャラだっけ?土方くんの息がかかるんだけど、胸に当たりそうなんだけど、口からコーヒーどころか中身出そうなんだけどぉぉぉ!!


「先生もヴィダルなんスね」

「う、うん、そうそう!安かったから!」


安かったし土方と同じだったし。つかヤベェよ、どーすんだよコレ。顔に熱溜まんねぇよーに堪えてっけど口から出そうなんだって、色んなものが。突き飛ばす?それとも蹴り飛ばす?むしろ抱きつく?いや、ここは大人の対応で耐えるのみだ。
 
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