その他小説
□大人になりたいです
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俺、坂田銀時は朝から機嫌がいい。何たってアイツが来るからな!いつも兄ちゃん達に邪魔されるけど出掛けるのは確認済みだ。だから今日は二人きり!
…と、そう簡単に行くわけないよなぁ。
「…うわ、何で銀兄ぃも金兄ぃもいんだよ」
「なに〜?居ちゃ悪いの?」
「金兄ぃ朝から同伴だっつってたじゃん。銀兄ぃは学校に仕事置いてきたつってたし」
「そう思ったけど鞄の中に入ってた」
「俺は夜になったから暇になった」
「……白々しいんだけど」
「「 抜け駆けしようとするのが悪い 」」
「 っちっくしょう!! 」
ピンポーン
「よし、俺が見てこようかな」
「んじゃ俺も〜」
「あっ!お前ら誰が来るか分かってんだろ!」
「お兄様を敬わないヤツはそこで待ってなさい」
「先行ってよっと」
「銀兄ぃっ、金兄ぃもっ、呼んだのは俺だからな!」
「「 へーへー 」」
ガチャ
「お邪魔しま…うおっ!?」
「「「 いらっしゃーい 」」」
「 お、お邪魔します… 」
坂田銀八(26)教師
坂田金時(24)ホスト
坂田銀時(18)高校生
そして俺らに気圧されて遠慮がちに入ってくるコイツは土方十四郎(18)。俺と同じ高校生。俺ら兄弟は何という事かコイツに絶賛片想い中。
−リビングに通された十四郎は言われるがままに差し出された座布団に座り、俺に耳打ちした。
「なぁ、今日はお前だけじゃなかったのか?」
「そうだったんだけどさ、直前で用事が無くなったって、」
「ふーん、偶然だな」
「……十四郎、もしかして兄ちゃん達とメールした?」
「 ? ああ」
(それだァァァ!この天然がァァァ!!)
あんにゃろう…!どうせ俺に言うなとか言ったんだろう。偶然って何だっけぐらいの分かり易さ。まぁ土方は俺らが自分に片想いなんて気付く訳ねぇよな。
俺の横に座ってる土方は学校中の女子が騒ぐイケメンでぶっきらぼうに見えて優しい男前。味覚は残念だけど男でも惚れるだろ。惚れてるよ、悪かったな。兄弟なんだからタイプも一緒なんだよ。金兄ぃはいいとして銀兄ぃ自分の生徒なのに、禁断の恋とかそっちのが燃えるから羨ましいとか思ってねぇし!
「 銀時 」
「ぎゃあ!お前覗くの止めろ!」
「てめぇが反応しねぇからだろうが」
イケメン+男前声+俺の十四郎好き度ナメんなよ!?発狂するわァ!!
「ぶはっ!お、おまっ、中学生じゃねぇんだからっ」
大爆笑してるヤツはお菓子を取りに行ってた金兄ぃ。俺の反応にニヤニヤしながら十四郎の斜め横に座る。…自分だって同じの癖に。
「 十四郎、ちょっと… 」
「 なんだ? 」
「(ヒソヒソヒソ…)」
「 …おう 」
十四郎は言った通り金兄ぃを見つめ近付いていく。
「トシくん?なに?」
「ジッとしてて下さい」
「え?ちょっ、」
あの深い蒼で見られると何も出来なくなるし、低い声で言われると身体が動かない。Sの血が流れてる兄弟なのにどれだけ好きなんだって話。だって金兄ぃが真っ赤になってってる。あのホストの帝王て言われた、女も男も掌で転がす金兄ぃが面白い事になってる。
「な、なにっ?」
「動くなって」
「はーい…」
十四郎の指が金兄ぃの耳に触れてる。キス出来そうな近さになっただけで赤くなる金兄ぃを今度は俺がニヤニヤ見る番。睨まれちった、こわーい。
「っと、コレか? 取れましたよ、金時さん」
「そらどーもありがとうございましたー」
あ、素っ気ない。照れてる、照れてるな。
「銀時、お前よくこんな小せぇゴミ見えたな」
「 うん、まぁ 」
ウソだからね。ホントに付いてるとは思わなかった。んなキラキラのパッキンにゴミとか見える訳ないから。十四郎も気付いて。こーゆう時だけ素直に感心しないで。
「銀時くんちょっと向こうで話そうか」
「今から勉強なんで遠慮しまーす」