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□今日から日記を付けます
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例え男でも好きになったもんはしょうがない。ただ、会えば顰めっ面をされ、話せば売り言葉に買い言葉。んでケンカに発展。最近はそれでもいいかな、なんて思ってる。女々しいのは分かってんだけど話せないよりかは幾分マシだ。…なーんて、欲を言えば違う顔、もっと言えば笑った顔が見たい。

俺はアイツが好きでもアイツは俺が嫌い。そんな日は絶対ぇ来ねぇな。


「−…って、思ってたんだけど」

「あ?いきなり何だよ」

「いや…何でお前、俺と飲んでんのかなーって…」

「はぁ?お前が誘ったんだろーが」

「そうなんですけどね…」


Okされるとは思ってなくてね、勇気を振り絞ったというか、断られる前提で誘ったんだよね。でもジミーの言う通りだとしたら−。


「お、奢ってくれる…?」

「…てめぇ、誘うくれぇなら割り勘くらいしろよ」

「いいじゃねぇか。俺にデッケェ貸しがあんだからさ」

「…まぁ、そうだな」

「そうそう、気長に返済してよ」

「…あぁ」


ホントに分かってる?"また"、"これからも"一緒に呑もうって言ってる様なもの。気付いてる筈なのに隣の犬猿は静かに呑んでる。


(…全然違ぇな)


ジミーにグチる振りをして土方の様子を聞き出そうとしたら思いもよらない情報が聞けた。

土方はオンとオフに差があるらしい。不幸に、俺はオンの時ばっかり会ってたって事だ。だからジミーにそれとなく土方の非番を聞き出して屯所の前で待ち伏せして今に至る。


(今なら本音言っても大丈夫、だよな?)


酒の力を借りて自分の気持ちのほんの一部伝えたい。これで、ケンカする度に負ってた小さな傷を取り除きたい。


「…土方。俺さ、お前と会うとケンカばったかしてっけど、お前の事、嫌いじゃないから」

「そうか、オレも嫌いじゃねぇ」


…即効治ったんだけど。声も優しくない?お願いします、無表情であって下さい。笑ってたりなんかしてたら死ぬから!


「 ん?どうした? 」


素敵な笑顔ありがとうございまぁぁぁす!!くっそ、何だこの男前。シリアスしてた俺を瞬く間にギャグに戻した。顔が真っ赤になるのは酒のせいじゃない。土方のせい…うん、土方のせい。決して俺が乙女思考な訳じゃない。


「 万事屋? 」


その顔で覗きこむんじゃねぇぇぇ!このイケメンがあぁぁぁ!!心配そうな表情初めて見たとか心配してくれてる!?とか思ってねぇから!そ、そう!アレだよ!屋号呼びが気に入らねぇで怒ってんだよ俺が!だから赤いの!


「多串くん知らないのぉ?俺には、さ、っぎんときって名前があるんですぅ〜!」

「てめぇだって忘れてんだろうが!」

「知ってますぅ、土方十四郎くんでしょ。銀さんはと、っ十四郎くんみたいに忘れっぽくないからね!」

「あ?てめぇと一緒にすんじゃねぇよ。銀時だろ」

「っ!つ、次からちゃんと呼べよ!」


よっしゃあぁぁ!とか思ってないからぁぁぁ!べ、別に銀時って呼んで欲しい訳じゃねぇし、と、十四郎って呼びてぇ訳…だよこんちくしょう!認めます、スゲェ嬉しいです、酒が進む進む。名前だけで心ん中ウッキウキだっつの、もう中2でも乙男でも何でもいいや!


「 なんだ、銀時。機嫌いいな 」


お前こそ何なの。笑顔の大バーゲンでもしてんの。惜しみないんだけど。オンとオフ違いすぎだろ。

はぁ…独り占めしたい。え?いきなり過ぎって?好きなら誰だって思う事だろ。こちとら少年(少女)の心を忘れない大人だからな。引かれねぇのは分かったから「お試しで付き合ってみねぇ?」とか言って強引に…。


「 おい銀時 」

「うおぅ!?近ぇよ、何だよ!」

「オレの呼び掛けにも気付かねぇぐらいデカい独り言だったな」

「 へ? 」


あ、珍しい。声出して笑ってる。て、見惚れる前に何だって?デカい独り言?


「 嫌いじゃねぇのは聞いたが好きなんは初めて聞いた 」


うおぉぉぉ!!何か知らんけど告ってたぁぁぁ!

逃げ出したい!でもねっ、十四郎くんが手を握ってるんです。何これ、強引に行こうとした報い?掴まれた手から燃えて死ねって事?それか溶けて死ねって事?

容量オーバーしそうな中で見たのは十四郎くんの微笑みで、聞こえたのは−


「 お試しで付き合うか? 」


男前過ぎて吐血するかと思いました。あの後よろしくとお返事をしてダッシュで帰りのたうち回りました。でも晴れてと、十四郎と恋人になれたので嬉しかったですまる


(今日から日記を付けます)
ノロケを書く訳じゃないからね!!


→後書き
 
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