ツナ攻め小説II

□私に触れて
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ツナに好きだと告げて、ツナも応えてくれて恋人になり一ヶ月が経った。それなのに、今までと全く変わらない。恋愛として好きだとちゃんと確認した。

好きだと言えば好きと返してくれる。手を繋げば、笑ってくれる。けど、それ以上がない。セックスはおろか、キスもない。


(オレじゃ燃えねえのかな)


ツナより背が高いし、ゴツい。女子みたいに可愛くもない。


(ツナの好きだったヤツとは真反対だもんな)


でも、ツナはオレと付き合ってる。望みはゼロじゃない筈だ。ツナだって、キスもセックスも興味があると言ってた。 オレとするのは? とは聞かなかったけど。

いい感じになった時もあったのに、毎回かわされる。


(そうだ、ツナをその気にさせればいーのな!)


ツナだって嫌じゃねえ筈。




「―はぁ〜、山本の家は落ち着く」

「ははっ、ツナの家は賑やかだしなー」


ツナの家じゃ決行出来ないからオレの家に呼んだ。取り敢えず、調べたり人に聞いたりして情報を集めた。合ってるのか効くのか分からないが、やってみる価値はある。


(先ずはいつも通りスキンシップからなのな)


肩に腕を乗せ、顔を寄せる。


「ツーナ。映画観ようぜ」

「いいよ。何の映画?」


ツナは全く動揺してない。やっぱこれは慣れてるからダメか。


「人から借りたのな。面白いらしいぜ」

「タイトルは無いんだな。どんなの?」

「オレも知らねえ。まあ、観てみようぜ」


ゲームの電源を入れ、借りたDVDを入れる。内容は聞かされてないが、恋人と見ると盛り上がるらしい。どんな中身かはなんとなく分かってる。


(どんな反応すっかな)


内容は男女のラブストーリーだ。始めはそうでもない、中盤からラブシーンが濃くなってきてる。

ツナを見れば、固まってる。

恋人達は想いが通じ合い、喜びのキスを交わしてる。可愛いキスじゃなく、舌が絡み合う大人のキス。


「うわあ…スゴいキス…」

(オレもしてえのなー)


ツナとあんなキスしてみたい。激しくイチャイチャしながら、顔を寄せて髪に指を絡める。お互いを求め合う、そんなキス。ツナの舌とオレの舌が交わり、熱い息を零す。その吐息を感じたい。


「えっ…!」


想像に浸ってると、ツナが驚きの声を上げる。画面を見れば、先程キスをしていた恋人達が服を脱ぎ始めてる。AVじゃないと聞いたから、いわゆるベッドシーン。


(いいなぁ…)


ツナは驚いただけで、何をする訳でもなく只ジッと観てる。


(何もしねえのな)


ツナが何か行動するのを待ったが、あの後ひたすらイチャイチャする男女を観ただけだった。

キスか押し倒されることを期待したけど、手さえも触ってくれなかった。

興味があるって言ったのは嘘じゃねえよな…。


(ちょっと、ヘコむ…)

「な、なぁ、山本。お前、内容知ってたの?」

「内容は知らなかったのな」

(気付いてたけど)

「 ああ…やっぱり 」


あれ?ツナの様子がおかしい。なんか、残念そう。 効果ありか?


「ツナ?」

「んー? 他にも観んの?」

「や、そうじゃねえけど」


気のせい、か?普通になってる。


(戻んの早えのなー)


またゼロからか。

キスもオレから誘えば簡単だ。付き合ってんだから、ツナだって応えてくれる、と思う。でもそれじゃあ今までもこれからも全部オレから。


「山本、疲れた顔してるけど大丈夫?」

(誰のせいだと思ってんだよー)


一回でもいい。ツナからしてくんねえかな。


「なぁ、イチャイチャしようぜ」


ツナを引っ張り、オレの膝の上に座らせる。ツナは小さくて軽いからスッポリ収まる。


「…何でこの体勢なんだよ」

「丁度よくね?」

「……」


この体勢じゃ顔は見れないけど、拗ねてる? ツナはオレの膝の上に座るのが好きじゃないみたいだ。
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