ツナ攻め小説II

□私に触れて
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好きな人に、恋人に触られたら誰だって身動きがとれなくなる。今まさにその状態。

眠っていらっしゃる10代目に悪戯心が芽生えた罰なのか。寝ている10代目があまりにも可愛らしいから、頬にキスをしようとしただけ。バレないよう気を付ければ大丈夫と、何故そんな考えになってしまったのか。


「 ん〜… 」

(ひいぃ〜!!)


―そう、オレは10代目に抱き締められている。

キスしようとした瞬間、引っ張りこまれた。身動きしようとすれば、10代目を起こしてしまうかもしれない。けど、この状態は…。


(か、顔が燃える…!!)


愛しの10代目がぎゅうっと抱き付いて擦り寄ってくる。脇の下に腕を回し、首辺りに10代目のお顔がある。そのせいでオレの首に10代目の寝息がかかる。くすぐったさと他の意味で声が出そうだ。

この事態と、一向に起きない10代目。10代目に触ることが出来たらと思っていたが、触られるのは予想外だ。頬や髪に触れるなんて可愛いものじゃなく、全身ピッタリとくっついている。


「…あっ!」


思わず出た声に口を塞ぎ、10代目を見る。


(良かった…起きてない…)


声が出てしまったのは、10代目の脚がオレの脚に絡んできたからだ。そこは色んな意味でヤバい。ピッタリ抱き枕状態で擦り寄られると、行為に慣れてる身体に痺れが走る。


「ぅん…ごく、でらくん…」

「じゅ、じゅうだいめ?」


名前を呼ばれ、それに答えるが返事はない。


(ね、寝言、か…?)


オレの名を呼びながらニッコリ笑っている10代目。本来なら喜ぶところだが、夢じゃなく今目の前にいるオレを見て笑ってほしい。願望はあっても10代目を起こす勇気はない。


(10代目、起きて下さらねえかな…)


10代目が動く度、身体が反応する。はっきり言えばシたくなった。


「えへへ〜…」

「 10代目 」


一度身体が熱くなってしまえば止められない。10代目じゃないと、治まらない。音量を上げ、10代目と呼ぼうとすれば、ニッコリ笑顔で、


「…いただきます」

「 え? じゅ、うっ! いってえっ!! 」


叫んだのは仕方ないと思う。10代目がいきなりオレの首に噛み付いてきた。最初は思いっきりだったが、その後はガジガジ甘噛みされる。


(ヤベェ…気持ちいいっ…!)

「んん〜…? ん!? うわあっ!!」

「あっ!」


10代目がガバッと起き、オレから離れる。ぬくもりが無くなり、寂しさからつい声が出てしまう。パニックになってる10代目は気付いてらっしゃらない。


「え?え!?な、なんで獄寺君が!?」

「遊びに来たのですが寝ていらしたので、お、起こそうとしたら…」


嘘は言ってない、筈。キスも未遂で終わった。


「引っ張ったんだね、俺…。通りで抱き心地がいいと思った…」

「あ、ありがとうございます」


10代目が安眠出来たのなら抱き枕冥利に尽きる。オレはそれどころじゃなかったが。


「あっ!ご、獄寺君っ、俺が噛んだとこ見せて!」

「えっ、あ、はい。ココっス」


痛かったのは最初だけで、ぶっちゃけ気持ち良かった。むしろもっと噛んで…、とは言えない。10代目は心底心配して下さっている。不謹慎なことを考えてしまった自分が恥ずかしい。


「ごめん…くっきり跡が残ってる…」

「いいえ。こういうのなら幾らでもして欲しいのですが…。10代目、どんな夢を見てらしたんスか?」


オレの名を呼んで、甘噛みされて。エロい夢なら大歓迎なんですが。


「(なんか凄いこと言われた気が…)まあ、察してる通り…」

エロい夢っスか!?

えっ!?ち、違うよっ、獄寺君が持ってきたお菓子食べる夢だよっ」

「ああ…なんだ、菓子っスか…」


10代目のお家にお邪魔させていただくのに手ブラは失礼だ。必ず10代目の好きなお菓子を持っていく。


(今回はそれが仇になったのか)


オレの夢じゃなく、オレの持ってきたお菓子の夢。やはり10代目は可愛らしい。


「そ、そんなに残念…?」

はい

「即答ですか…」


申し訳ありません。残念なことに即答です。
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