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□銀時くんの成長記録
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「 これからドッキドキの審査タイムでーす 」
「こ、この体勢でか?」
「 文句あんのかよ 」
「あ、いや、」
ないです、と続けたら満足したのかとても、とっとも良い笑顔でした。さっきの鬼顔負けの鋭い眼光よりこっちのが怖ぇ。愛おしそうにオレの頬へ這わす手が唇から首筋、胸元、腕へと滑り、重なるように掌同士が合わさる。指を絡めて握ると怒りが少し和らいだ。でも拗ねてる顔つき。
「十四郎はくっつき過ぎだと思います〜」
「しょうがねぇだろ、可愛かったんだから。…貞操狙われかけたけど」
「若気の至りだね仕方ないね!でもエロいちゅーはダメ」
「大人をからかったテメェが悪い」
「大人なら軽くあしらえよ。ん、これはアレ以上のちゅーするんならいいとしてぇ〜…キスは何回までだっけ?」
「さ、三回までだったかな?」
「そうですね、十四郎は何回しましたか?」
「あー…と、軽くを入れれば四回、か…。 わ、悪かった」
三分の四殺し(木刀フルスイング)はヤバいし、約束を違えたのはオレだからここは素直に謝っておく。まだ不満な顔をしてるので指を絡めたまま起き上がり…どうしよう。倍の回数キスでいいんだろうか。バカップル街道爆走に向かう以外の謝罪はやはり甘味。どちらにしようか。
「甘い物だけで誤魔化そうとすんなよ」
「ぅ……。か、甘味巡りならどうだ?」
「ちゃんと一んち非番なんだろーな?」
「も、もちろんだ、絶対取る」
「ん、ひとまず許してやるわ」
「そうか、じゃあ…」
「わっ、おいとーしろ……っ。もぉ〜……」
「 銀時、会いたかった 」
「 ふふっ、はいはい 」
いやもう本当に。子銀に白夜叉、万事屋でも銀時は銀時だ。中身も香りも変わらない。けれど抱き締め笑いかけるオレへ穏やかな笑みを見せてくれるのは恋人の銀時だけ。そう…エロい事シてもいいのも。マジで生殺しだった。よく耐えた、オレ。
「おおっ?ひゃっ、シリもむなぁ…!」
「突っ込むのはいいのか?」
「だめ!夜まで待ちなさい!」
「 我慢すっから触らせなさい 」
「 それ俺のセリフぅ! 」
空いてる腕で尻を揉むとお叫んだ銀時は顔が胸につくように頭を抱え込んできた。良い胸板が額に当たり手はオレの髪を梳いてる。よし、舐めろって事か。
「いやああん!変なこえ出たぁぁぁ!」
「ふむ、敏感になってんな。゙ちょっとだげも止めるか」
「冷静な分析だこと!確かに男のちょっとは信用できないからねぇ」
「 夜にがっつりヤんぞ 」
「 お、お手柔らかにお願いしますぅ 」
顔を赤くして絡まった指の力が強まる。かぶりつきたい衝動を抑え銀時の好きにさせる。鼻歌の聞こえそうな表情についポロッと「 オレの銀時が一番可愛い 」と言ってしまい吹っ飛ばされた。去り際に「 夜に言えよコノヤロー!十四郎のスケコマシー! 」と走り去っていった。
入れ替わりに山崎来て銀時の言伝の紙と仕事を置いてった。言伝は『半休ぐれぇ取ってこい』。…そうだな、仕事より先ずは上司と部下をどうにかしねぇと。
(銀時くんの成長記録)
「昼まで居られんぞ」
「ん、いい子いい子。ご飯は万事屋で食おうねぇ」
「お、久しぶりの銀時の飯か。疲れがとれるわ」
「お疲れ。ご褒美にぃ、次は記憶があるからね!」
「…………は、」
END
→後書き