その他小説

□銀時くんの成長記録
4ページ/8ページ


何とか年上の威厳を保って仕事を続行させ、不穏な空気を放つ白夜叉殿には打開策になればいいなと手紙を渡しておく。最初は舌打ちしていたが読むにつれて大人しくなった。…嵐の前の静けさじゃねぇよな?眼が光ったのは気のせいだよな。

―一段落はした。後ろからヒシヒシと感じる視線を抜きにしたら今すぐ休みたいとこ…。


「終わったんならメシと風呂行こうぜ」

「そうだな…。ところで、手紙には何て書いてあったんだ?」

「んー?今は教えねぇ」


…まぁ、楽しそうだからいいか。飯も風呂もいつも通り何事もなく、部屋に戻って二組の内、自分の布団に座った所で銀時が動いた。胡座の上にただ座るだけでなく腕を回してきた。


「おいコラ、しねぇぞ? え、なんだそのギラギラした眼」

「ふふん、コレを見ろ。特にココな」

「 あ?銀時の手紙か……―」


内容は、深く考えるなは子どもン時と一緒で後は…『 抱きつくのはいい、口付けは三回まで、えっちはダメだから! 』と美しい字で書かれてた。読みやす過ぎて理解が追いつかない、追いつきたくない。オレが手を出すと思ったのか事細かく、最後の方に『 破ったら三分の四殺しね☆ 』とこれもキレーな字で大きく。

ソレは理解したとしてこの手紙をドヤ顔で持ってきたコイツはオレにどうされてぇんだ。不思議に思ってると挑発するように笑みを見せる。


「俺さ、アンタ見てるとすっげぇムラムラすんの。なのにアンタは誘っても大人の俺ばっかじゃん?ムカついて襲ってヤろっかなって時にきた転機よ」

「そらぁ…悪かったな。んー、今なら小さくねぇし…」

「やっとヤる気になった?ったく、枯れてんのかっての」

「あんだとコラ」


聞き捨てならねぇなクソガキ。お前が俺の銀時に戻ったらビンビンだわ夜通しイケるわ。いや当面の目的は舌を出しておちょくってる生意気なマセガキをどうしてやろう。最初っから本気出してみるか。


「 枯れてるかどうか確かめてもらおうじゃねぇか 」


出ている舌を甘噛みして強く吸う。感じ入り熱く息を吐く表情は幼くても銀時で、久しぶりの面影にちょっと理性がキレた。後々性感帯になる場所を軽く攻める。反撃はしてくるものの稚拙なキスに余裕を取り戻す。舌や唇を食んでると、首に回してた腕が肩を押してきた。ソレを合図に塞いでやって息を奪い盗った。ドンドン叩いてきたから離してみると荒い息でもたれ掛かってきた。整えようとしてる背中を撫で、落ち着いたらよしよし。


「くっそ〜っ、年の功か〜!!」

「ソレもあるがテメェがオレを好きだからじゃねぇか?」

「ア、アンタばかじゃねぇの?んな恥ずかしいことよく言えんね…」

「(否定はしねぇのか…)後二回あんぞ、スるか?」

「や、いい。良い子なんで寝る」

「ぐっちょんぐっちょんにしてやるぞ?」

「 えっ、えろおやじ! 」


叫んだ白夜叉殿は急いで自分の、といっても隣に敷いてある布団に潜り込んだ。隠しきてれない赤い顔を隙間から覗かせ、眼を合わせると睨まれる。猫みてぇだなと戸を少し開け煙草に火をつけた。多少成長したとはいえまだ子ども、一本で自重するつもりだ。変わらず視線は貰い続けてるが不平というより憧憬に近い。「こらぁ良いもんじゃねぇぞ」と言うと「別に、吸うつもりねぇし」と少し赤みが引いた顔が布団から出てきた。

一本を時間をかけて吸い、自分の寝床へ入る。五分程するとゴソゴソこちらに来て、オレの腕を枕に寝息をたて始めた。「二組敷いても意味ないのに」と言ってたのは聞こえた。体裁を気にしたんだがどうでもよくなってきたから次は一組でいいか、コイツが安心して眠るように。オレもフワフワの頭を抱いて眼を瞑れば自然と眠りに落ちる。

―二回目の口付けは朝になって育った銀時が…はっきり言えば違いが分からないと顔に出てしまって拗ねた時に。そして最後、三回目に至ってはオレの知る銀時に。オレとはまだ犬猿の仲だそうだ。
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ