その他小説

□銀時くんの成長記録
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―時間は過ぎて、夜中。


「―あ〜しんど。銀時、風呂行くぞー」

「ふぁい。ヘンなことすんなよ」

「ガキにゃあ興味ねぇ」

「…俺のことすきなくせに。裸の突きあいだって書いてあった」

「待て、漢字待て、違うだろ、平仮名だろ。例えそうだとしても大人のお前とだからな」

「ふーん、ふーーん。ガキの俺はちがうの、ふーん。あーあ、大人ってズルいなー」

「どっちなんだテメェは」


大人をからかって遊んでる子ども。端から見ればそうなのだが、オレから見るとマジな方向に拗ねてる。どうすりゃいいんだ?甘やかすのか、甘やかしていいのか、仕事だった分を構い倒すぞ。

の前に先ずは風呂。使い勝手の分からない最初は教えてやり髪を洗ってやった。自分も簡単に済まし、部屋に戻った後は膝に座らせて念入りに髪を拭いた。さて…さてどうするか。ガキの相手とか、総悟、あの総悟以来だぞ。


「なに固まってんの?」

「…ガキを甘やかすって、どうすりゃいいんだ?」

「俺に聞くなよ…。つか今までのはなんなんだよ」

「そりゃガキつぅより恋人寄りだったからな…」

「……じゃあ、それでいーじゃんか」

「うーん…良くはないが、分かんねぇし…まぁいいか」


アレとアレをしなければいいよな。さっきより捏ねくり回してやろう。髪をモフったり頬をムニったり、銀時はうーうー言って風呂上がり以上に顔を赤くする。何こいつ、クソ可愛い。吹っ切れる前の銀時がツンツンしながらも懐いてる感じでクッソ可愛い。

と、撫でくり回してたら反撃されて、恋人でいうイチャついてたらあっという間に寝る時間。舟を漕ぐ銀時を布団に横たえる。煙草を吸うかと立つと裾を引っ張られた。眠たそうな眼がコッチを見てる。


「廊下で吸ってくるだけだ」

「 …やだ 」

「すぐ戻ってくっから」

「 ……すぐだぞ 」


凝視を背中に受け縁側に行き煙草に火をつける。念の為、戸を少し開けておくとそこから途切れない視線が。抗える筈もないので強引に吸って戻った。遅いと言われた文句には素直に謝っておき布団に潜り込む。銀時はモゾモゾ動き、いい位置を見つけたのか腕の中で安心しきった様に眠った。子どもの暖かさに自分も落ちる様に寝た。

―翌日、違う所と言えば、神楽と新八が来て銀時と遊んで帰った。明日はココで仕事らしい。後で気付いたが銀時が昨日より大きかった。「成長してんだな」と呟くと、思い出したと手紙を渡してきた。最初のではなく二通目。「えーと、゙十代のピッチピチの銀さんに渡してね!とーしろぉなら分かるよね!゙だって」。あの時代の銀時だろうなと「分かった」と頷いて考えてたら視線が。


「俺もとーしろーって呼ぶから」

「別にいいが、ちゃんと呼べ」

「 と、とー、とーしろう、とう、十四郎ー 」

「…言いにくいんなら好きにしろ」

「 十四郎…とーしろー。うん、とーしろー 」

「てめぇは間延びせんと喋れんのか」


だが幸せそうに呟いてっからいいけどな。こっちが恥ずかしくなるくらい呼んでるのは胸に押し付けて止めた。

―それから一週間、捕り者もなく銀時は順調に育ち歳は十代後半辺り。あの時代の伝説゙白夜叉゙は今、仕事を終えてオレの部屋でイチゴ牛乳を飲んでる。この姿になって一番驚いたのが常に煌めいてる瞳。いい面構えだがこの歳でか…。

ちなみに記憶はある中にオレの事も組み込まれてるらしく殺気を振り撒くこともない。ただ、癖になってるのか流れるように胡座の上に座ってる。


「ハァ〜。やっぱイチゴ牛乳は格別だわ」

「ご苦労さん。重いからちょいとどいてくれ」

「最後の仕事が残ってんだもん」

「それはもうちっと後な。先に飯か風呂行ってこい、その間に済ませる」

「んー……。いい、待っとく」

「そうか、じゃいい子で待ってろ」

「俺ワルい子だからタダじゃ動かねぇの。何かちょーだい」

「やったろ、ソレ。…おいコラ、触んじゃねぇよ」

「 コレがいい 」

「ダメだ。アイツに怒られる」


「幼気なおれに手ぇ出したな」とかで殴られる。その幼気な白夜叉が誘惑してくるんだけど。指でコレコレと唇つついてくるんだけど。欲情しないこともないが小さい頃から見てると父性が目覚めて(決して母性ではない)そんな気も起きなくなる、多少。自信ないのは先程ボソリと聞こえた銀時の「押し倒してやろうか…」のドス声にちょっと背筋が寒くなったから。
 
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