その他小説

□うさ銀の日
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「これはですね、恋人の戯れの延長というか…」

「新八、長くなりそうだから大事なとこだけ言え」

「……はいはい」

「ハイは一回アル」

「………はいっ!土方さん、沖田さん!」

「あ、ああ、何だ?」

「コレ、読んで下さい!守らないと銀さんと神楽ちゃんの調子が悪くなりますからね!」


「さっきみたいに!」と紙を其々に渡してくる。頼みますとメガネは来た道を歩いていった。

延長と言うのなら楽しむ物な筈だが調子が悪くなるとは何だ。怪訝な顔をしてると銀時が一番上を読めと言ってきた。ギッシリ文字が書かれてる紙の上を見ると”浮気防止”と納得の一言が書いてあった。知らなかったとはいえなんて物食ってんだ。

非難の眼を向けながら銀時の頬を軽くつつく。銀時は悪びれる風なく移動しよと提案してきた。このまま銀時らを連れて巡回は出来ないと、総悟もサボらず屯所に帰る道を歩く。


「えっとぉ、新八が第一項目を読んでって。総一郎くんは第二項目もねぇ」

「旦那、総悟です」


やり取りはスルーして重要だという説明部分を読んで吹いた。


「どったの十四郎くん」

「土方さん汚いんで死んでくだせぇ」

「うるせぇぞ総悟。それどころじゃねぇよ、何だコレ。オメェこれ読んだのか?」

「ううん全然。新八は二人に読ませろってだけだったし」

「ワタシも読んでないアル」

「おめぇ読めんのかぃ?」

「うっさいネ!!」


「何て書いてあったの?」と銀時が覗いてくる。途端「あらー」と顔を桜色に染め指に引っ付く。総悟の「読んでくだせぇ」のやる気のなさに頭をひっぱたいておいて、関わる事だからと音量を上げて聞かせる。


「 この紙に書いてある全てを守んねぇと服用した方の具合が悪くなる 」

「ウサギの寂しくて死ぬをコレに置き換えたんだろーね」

「はぁ、そうなんですかぃ。延長とか防止とか言いやすけど何でオレとチャ「総悟、名前」

「……神楽なんですかね」

「それはぁ、総一郎くんが自分で読んだ方が良いかもね」


神楽の為にと付け加えると素直に紙を開く。コイツ…銀時が相手だとホント言う事聞くな。

淡々としていた総悟の表情がジワジワ赤くなっていくのを見て、チャイナが見せろとせがむ。覗いたチャイナも総悟より赤くなる。この手の話題を直ぐ察す総悟なのにチャイナのことになると形なしなのが初々しくて笑みが零れた。


「なんか、ムカつきまさぁ…」

「銀ちゃんも笑うなヨ!」

「い、いや、だって、可愛いわぁ」

「ああ、可愛いな」


率直に思い口に出すと、赤くしたまま眉間に皺を寄せる総悟と、慣れてないからか膨れて総悟の手を叩くチャイナ。痛いから本気で叩くなと摘まんでまた乗せて互いが眼を逸らす。意識しあう姿は睦まじく見える。

ジッと眺めてるのもむず痒くなって銀時の方を見たらしゅんと、何これデジャブ?


「銀さんは?かわいい?うさぎの銀さんきらい?」

「いや、ウサギの銀時も可愛いし好きだ」


だからその耳をどうにかしてほしい。猫の時も思ったが使いこなす能力高すぎだろ。表情と仕草が相まって焦る。あと確かさらりと読んだ項目の中に他に構ってると調子が悪くなるとか書いてあった。どうなってんだこの仕組み。


「ちゅーは?」

「その姿にしろと?…する、するからソレ止めなさい」

「だって、勝手になるもん。半分は」

「器用だなオメェ。分かってたけど」

「なまえ…」

「本気なの?わざとなの?」

「ちゅー…」

「屯所でするから!」

「と、こんな感じで振り回すんだぞ神楽」

「さすがネ銀ちゃん!」

「流石ですねぃ旦那」

「総悟いいの?そこ褒めちゃうの?」


チャイナに余計な知識吹き込んでるけど。まぁ、笑ってるからいいか。

あのサイズとウサギ耳のせいで悲哀度が増す。何でも言う事を聞いてしまうのは恋人に甘いのもあるんだろうなと心ん中で苦笑して笑いあう三人を見やる。
 
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