ツナ攻め小説III
□doux coeur
1ページ/4ページ
バレンタインといえば、皆一度は憧れの子とかに貰うのや、下駄箱にチョコが入ってるとか想像すると思う。それが個性的な彼らに出逢って、マンガみたいと心の底から思ったのは今日が初めて。
「 おはようございます10代目!貴方の隼人ッス!! 」
「 よー久し振りだなツナ。バレンタインのプレゼントだぜ! 」
「 獄寺君おはよう。ディーノさん久しぶりですね 」
休日に重なったバレンタイン。獄寺君から電話が来て、間を置かずディーノさんから家に居ろと電話が来た。30分程経ち、外が騒がしくなって、ああ来たんだと玄関に降りた。ちょっと開けるの嫌だなと思いつつ、ガチャと開くと元気な挨拶と両手で持てないくらいのバラの花束。
「10代目、カード見て下さいッス!10代目への想い綴ってます!」
「オレからは、アッチな!」
真紅の中に四角い白いカードが見えたので取り出すと美しい字のイタリア語で、意味は"愛しています"。10人くらいの黒服の強面の人が抱える大量のプレゼント。
「ありがとう…。で、アッチは何ですか?」
「オレと隼人が選んだ服一式だぜ。靴もあるからな」
「オーダーメイドのデザインもしたッス!」
くれる気持ちは嬉しいんだけどタンスに入らない気がするなぁ…。
獄寺君とディーノさんからプレゼントを貰う様になったのはリング争奪戦の後で。庶民の俺としては高級品を受け取るのは後ろめたい。やんわり断ったつもりでも、周りがどんよりとした空気、二人も叱られた犬みたいにしょんぼりする。その空気に耐えられず、いいよと言って記念日だけ受け取るのを条件に出したらパッと輝いた。これで貢げるなと豪快に笑う部下の人達の言葉はスルーした。
「このバラは母さんにあげていい?」
「はい!それとは別にお母様にご用意してるッス!」
「オレも世話ンなってるからチョコ用意してきたぜ」
「ありがとうね。昨日から二人が来るの楽しみにしてるよ」
昨日一日中チョコの匂いがしてた。どんだけ作ったんだろう…。誰に渡すかは容易に想像出来るけど。
案の定、喜びと共に花瓶に全部生け、獄寺君とディーノさん筆頭にチョコを配りまくってた。俺は自分の部屋にも飾ろうと少し取り、二人を招いた(部屋の前までロマーリオさんが付いてきた)
「またスッゴい量ですね…」
「しょうがねぇだろ、ツナが買うなって言うから」
「タンスに入らないですよ」
「ああ!すいません!クローゼットも買えば良かったッス…!」
「今度はソレが部屋に入らない」
服に無頓着な俺にとっては一生分の量だ。これでクローゼットなんか買われたら部屋が狭くなるし…。あっ、しまった、ソレ言ったら−
「 広い家買えばそんな心配無くなるな! 」
「 跳ね馬、手配する時は言えよ 」
「 却下! 」
妥当、とでも言う様に家を買う発言をする。最終的に俺がいいと判断しないと実行しないからいいものの、心臓に悪い。でも彼らの顔に、10代目(ツナ)の為に金を使いたいとハッキリ書いてる。何故かは分からない。