ツナ攻め小説III
□主人の心得
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「10代目、手を繋ぎましょう!」
「登校中だから!」
「ツナ、ちゅーしようぜ!」
「人いるから!」
朝から二人とも積極的だなぁ!(遠い目)
周りに生徒や通勤中の人達が行き交ってる中でなんという大胆発言。そこまで大きな声じゃないけど、俺は冷や汗でびっしょりになりそう。
「ケチー。じゃあ、えっ「もっとダメ!」
「流石ッス!何も言わずとも分かってらっしゃる!」
そりゃ結構な月日を過ごしてきたしね、毎朝言われてるからね!
最初は挨拶と同時に、数日後はおはようが二の次で今はコレが挨拶変わりになってる。人前じゃないのならちゃんと応えるが、公衆の面前はムリ。それを言ったら、予約してると返された。ちょっと納得しそうになった自分にツッコんだ。
「では公園でイチャつきながら相談しましょうか」
「よし、ちょっとイチャつこうぜ!」
「 二人の"ちょっと"は信用出来ない! 」
この前、朝早く来た二人が"ちょっと"公園に寄って行こうと引っ張られた。時間あるし、いいかと思ったのが間違いだった。二人が何か話したと思ったら、山本に腕を掴まれトイレに連れ込まれた。獄寺君は「見張ってますね!」とニカッ。
混乱してる間に鍵を掛けジーと山本の顔の前でしちゃいけない音がする。一瞬で理解して全力で阻止した。こう「キスで許してくれない!?キスで!っていうか遅れるからキスね!」と止めてもらおうとしたら「ちゅー三回な。いいぜ!」と爽やかな笑顔だった。言った回数分ってコトだね!そして見張ってる獄寺君も三回するコトになった。キスくらいならいいがヘタに物を言えない。変な所で驚異的な聴力を発揮してくれる。
「えー、ちゅー!ちゅーしてぇのなー!」
「それが目当てか!」
「キスだけでいいと10代目は謙虚な方ッス!キス以上でもっ、」
「回数を稼ぐな!」
踏まえると怪し過ぎる言い回し。積極的な二人を静めるには骨が折れるが、嬉しい(?)コトに決定権は俺にある。
「 俺がいいって言ってないからノーカン! 」
ガーンッ!という表現が似合う獄寺君の反応、ぶーとタコみたいな口をして不貞腐れる山本。トボトボ後ろからついてくる二人にスッゴい後ろ髪引かれる。俺にしか見せない表情だって分かってるから余計に。
「…昼休み、屋上でね!」
「 セック「それはしなぁい!」キスだけッスか! 」
「 やった!ツナとちゅー! 」
「相談の方だから!あと小声にしないとソレもナシ!」
「はい」「ん」
静かになった。ウキウキした笑顔で前を歩く獄寺君と山本。やっぱり可愛いなぁと心の中でノロけた。二人には、中々言えないけど。
「−では10代目、会議をしましょう」
「お、大袈裟…」
「ツナのコトだしよ、これぐれぇしねーとな!」
毎度早弁して、屋上に行くなりこの調子。俺は食べてないから聞きながら箸を進める。獄寺君は眼鏡をしキリッとなり、山本は野球と同じ様に真剣。真顔な二人は、うん…イケメンだなぁ…。
「朝から数えると七回だ」
「ツナがノーカンつったの引いたら二回なのな」
間に授業があるのに朝一番の内容をよく覚えてるな。朝から頭がフル回転してるんだろう。獄寺君は元から、山本は本気を出せば頭も良い。使う所は限定されてるけど。
「ここは10代目に再検討を願い出よう」
「おう、それしかないのな」
「……」
あ、ああ、俺か。再検討って難しいコト言ってるがイエスかノーかだよな。
真剣な顔してる割りには瞳がキラッキラしてる。ノーって言ったら…間違いなくへにゃってなる(経験済み)でも七回となると二人で十四回だろ?それだと俺が羞恥で倒れるから−
「合わせて七回なら、いいよ」
「合わせてッスか!?」
「オレ四回の方な!」
「んなっ!?オレが四回の方だ!」
あ、だよね、今のは俺が悪い。ちゃんと割れる様にしないと。減らすのは強制的に却下されるから増やす、イコール四回ずつか…。多い。キスと言っても問答無用で大人のキスになる。可愛いのなんて数秒で終わる。気持ち良いけど学校ではヒヤヒヤもの。