ツナ攻め小説III

□狂乱のマリア
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「お待たせ!一緒に帰ろ」

「はい、帰りましょう!」


教室での彼は穏やかで、ふわりと優しい笑顔。山本の前でも笹川京子の前でもその仮面は外れない。仮面を外し、本当の彼にキスが右腕で恋人であるオレだけ−。

人気のない帰り道、我慢出来ずに彼へ語りかける。


「あの、10代目…」

「 獄寺君。まだダメ 」


何か言う前に素早く察知し、困った様に笑いたしなめる。流石10代目と思いつつも、素の彼が出てきた事に焦りを覚える。許して下さった時からまだ日が浅い。あの無感情な10代目を思い出してしまい心臓も竦む。


「 分かり易いなぁ 」


彼のまま笑い、オレに来い来いと手招きをする。10代目の瞳に情けない顔をしたオレが映る。

言われた通り、オレの感情は全て左右される。近付いて、次に発せられる言葉でまた変わる。


「 んっ…! 」

「 お仕置きして欲しいの? 」


耳に息を吹きかけられたと思ったらすぐ離れ、ニコッと柔らかい笑顔だ。けれど、オレの心は浮上する。声色と言葉が表の彼では決して有り得ない。それに安堵し、これから起こる事に顔と身体が熱くなる。


「早く帰ろう?」

「は、はい…っ」


早くと言う10代目よりオレの方が早足になる。貴方がオレに触れてくれる現実に心が踊る。眉を下げ、「待って」と優しく笑う貴方の仮面を外したい。

−家のドアを開け、どうぞと入ってもらってから自分が入り鍵をかける。ただいまと言った後、「疲れたー」と伸びをすると雰囲気が変わる。


「んー、やっぱ家が落ち着くね」


ソファに身を投げる。学校から帰ると必ずソファで休まれるので、オレはある事をする。


「10代目、ベストとネクタイを…」


皺になってしまうからと言い出したのがきっかけでハンガーに掛けるのが日課になっている。10代目も何の疑問を持たず服を渡してくる…と、その反対の手で腕を掴まれる。引っ張られ、ぶつかってしまうと反射的にソファの背に手をつく。でも足はそうもいかず、10代目の足を跨いでしまった。退こうとするのは想定内のようで素早く腕を腰に絡める。


「隼人も脱がないと」

「ま、まって下さい…っ、服が…!」

「お仕置きにまったなし」

「 ひゃう! 」


ベストを端に投げると身軽になった手が尻を割る。その先を触られるのかと思うと、どうしようもなく騒ぐ。服の上から軽く叩かれるだけでソコが疼く。


「 ふふふっ、お仕置きにならない 」

「 っじゅうだいめぇ…! 」


貴方の言う通り、オレの身体は貴方から与えられる快感に従順。愛され方を請う為、何度も誘い刻み付けて貰った。10代目が触るといとも簡単に服従する。


「じゅうだいめ、ふく、じゃまッス…っ」

「こら、だーめ」


肌に触れたくて服を剥ごうとしたら悪戯な顔をした彼が掴む。何故?と目で訴えると「思い付いた」と口にする。


「獄寺君は動いちゃダメだよ」

「そ、そんなっ、触りたいッス…!」

「 お仕置き、だからね 」


そう言われてしまえば何も言えなくなり、熱くなる身体を抑えながら貴方の言葉を待つ。

大人しくなったオレにフッと笑いズボンの中へと手を入れる。もう片方は口元へ。迷う事なく指を含み丹念に舐める。ズボンの中の手は動いたりするけどただ撫でるだけに留まる。


「うーん、難しいな。獄寺君、自分で脱いで。もちろん、舐めながらね」


言われるがままにズボンに手を掛ける。パンツも一緒にゆっくりと下ろすと空気が素肌を掠める。脱ぎにくい体勢からか10代目も手伝って下さり、全部脱ぐと同じ様に端へと投げる。暖かい空気に震えると、熱い手が太股から腰を撫でる。


「 んんっ、…んぐっ、ふぅ…、 」

「肌しろーい。 ん、もういいよ」


勃ってるねと目で犯される。10代目に見られてると思うとそれだけで快感になり、ぞくりと熱がソコへ集中する。


「溢れてきたね」

「だって、じゅうだいめが…っ」

「これなら指入れただけでイっちゃうんじゃない?」

「そ、そんなこと…!」


無いとは言い切れなくて、言葉に詰まる。焦がれた期待は慣らされた身体にとって快感の蓄積に過ぎない。


「否定しないんだ。んー、じゃあ俺がいいって言うまでイッちゃダメだからね」

「えっ?じゅ、じゅうだ…!?、あっ、あ、んっ!」


指が何の障害もなくゆるりと入り込む。ゆっくり動かすなんて生易しいものじゃなく弱い所を集中的に擦られる。
 
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