book2

□ルキア+一護
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ルキア+一護(海燕)



現世の学校でお昼に飲むイチゴ牛乳が好みだ
あれは紙パックにストローを刺すのが難しい

「ったく、貸してみろよ」

苦戦していると一護がやってくれた

「なっ、自分でできる!!」

「へーへー、そうかよ。ほら」

礼も言わなかったのに一護は気にもとめない

「早く屋上に行こうぜ」

振り返った一護があっさり笑んで言う


あぁ、海燕殿もこのような方であった
一護とおなじ笑顔を何度も何度も向けてくださった


あれから海燕殿のことを思わぬ日は一日たりともない

なのに海燕殿のこの笑顔を思い出したことは一度もなかった


海燕殿は生まれ変わって、目の前の一護となっていたのだろうか?

いや、ちがう
海燕殿は虚に取り込まれたまま消えたのだ
私が殺したのだ

私はー


だが、一護の笑みに海燕殿の笑みが重なった瞬間

もはや我が身の内で抱えようもないほどの大きな固まりとなった、身を投げだして詫びたい気持ちも
そうして己を罰したい気持ちも
詫びて詰られることへの恐れも
海燕殿を失った嘆きも

なにもかも一瞬にして白い閃光に霞んで沈んだ


そして、ただただ海燕殿が慕わしい
慕わしさが溢れる

それだけしか残らない


知らぬうちに笑みを向けてくれた海燕殿を思わないようにしていた
それを思う資格が私にはない

資格がないにも関わらず
私はただ海燕殿が慕わしい


私はそれさえも認めることができていなかった

一護の笑みを見て
ようやくそのことに気が付いた気がしていた


屋上は初夏の日差しが眩しい
あの日の雨とはまるで逆の晴れ渡る青空が広がっていた



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