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□雨竜
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僕が空座町の死神を手伝っているのは完全な成り行きだ
黒崎が死神代行じゃなくなって空座町の担当の車谷善之助という死神だけでは手が回らず、
何故だが僕が虚退治を手伝う羽目になった

いまの黒崎には死神の力どころか霊感もない
なにも見えない普通の生活とやらを満喫すると黒崎は言っていたが
僕も黒崎も気がついたら変なものが見えているのが当たり前な人生だったから
普通の生活がどんなものなのか僕には想像がつかない
まぁ煩わしさから解放されるのは羨ましいかもしれないが


ところで、黒崎といると忘れがちだが
本来なら現世の人間が死神になることはない
おなじく虚を相手に戦う滅却師はもともと人間がなるものだからこれは別だ

死神の組織がどうできているかは師匠である祖父から聞いて知っていたし、
このまえ実際に見てきたからだいたいわかっている

だから死神代行なんて人間の存在がいかに胡散臭いと思われているかは予想できる

ただでさえイレギュラーな存在の死神代行なのに
藍染を倒した黒崎は極めて特異な者と見なされていることだろう

なにしろ隊長格より強い人間ということになったのだから

黒崎自身はわかっていないようだが
黒崎はこの先一生死神と縁が切れることはないだろう
それだけの働きをしたし、力も示した
それは危険視されるのにも十分過ぎるほどだ


それにもしかしたら藍染の目指した力をはじめから持っていたのが黒崎なのかもしれない

黒崎が虚のような仮面を出して戦うのを何度も見た
その仮面は見る度に形を変えて
虚圏ではついに仮面だけでなく黒崎の姿ごと虚のように変化させた
そして圧倒的な強さで敵を倒した

黒崎はその間のことを覚えていないようだが
それで死神たちが放っておくはずがない
滅却師でさえ代々監視されてきたのだ


僕が無くした滅却師の力を取り戻すために竜弦と交わした
二度と死神に関わらない
という約束を解曲してまで黒崎たちと行動をともにしたのは井上さんを助けるためでもあるが
黒崎を守るためでもあった

僕は滅却師で、滅却師は人間を守るためのものだからだ
黒崎は死神のようだがそれでも人間だからな


以前、僕が黒崎と戦ったのは滅却師の存在と力を死神である黒崎に認めさせるためだった

黒崎は師匠が悲惨な最期を遂げてから僕が初めて会った死神で、
僕が滅却師としてあるためには戦いを挑まずにはいられなかった

だが黒崎はそんなことはなにも考えていない

家族や友だちを守るために虚と戦い、
朽木さんを守るためにソウルソサエティに乗り込んで死神たちと片っ端から戦い、
藍染の陰謀に巻き込まれるかたちでソウルソサエティを守った

僕のように滅却師だからとか死神だからということはまるで関係ない
守りたいものを守るだけだ

頭は悪くないはずなのに実に単純なやつだ


だがそんな黒崎を守る人がいない
死神の中にも朽木さんのように黒崎と親しい人もいるが
ソウルソサエティの意志と個人の意志は別物だ

だから滅却師の僕くらい人間として黒崎の助けになってやらないと

そして今は普通の人間と変わらなくなった黒崎を
今度は滅却師としてより先に、黒崎の仲間として守ってみるのもいいかもしれない











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滅却師と石田と死神と黒崎のはずが、そこはかとなくBL臭…orz でも雨竜って名前は綺麗だ//

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