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□日番谷
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俺はすでに一度、藍染に見事に嵌められていいように使われた

二度とあんなことにならないためには
俺はまずそのことを認めなければならなかった

あのとき俺は藍染と市丸が不仲なのを見掛けて
雛森に市丸には気をつけろと忠告をした
そのあとで藍染の死体が発見されると雛森は市丸に向かって刀を抜いた

さらに俺が藍染の手紙の中身を確かめもせずに雛森に渡したことで
雛森は藍染殺害の犯人と記されていた俺に斬りかかってきた

雛森と俺の性格を読んだうえで
小芝居と小道具、市丸を使ったわずかな誘導だけで
俺たちふたりを簡単に共倒れさせられると藍染は踏んだ

そしてそれは見事に成功して、事態の攪乱に大きく役立った

さらに焦った俺は気づかないままに雛森を清浄塔居林に誘導し
そこで雛森は藍染に斬られた

すべてが俺の判断ミスだった

認めるよ

俺は完全に藍染の手のひらのうえで踊らされていた

俺は雛森を傷つけられ
隊長としての自尊心を傷つけられた
それも酷く悪意を感じるやり方で


過ぎ去ってみればわかる
藍染は俺をけしかけることで冷静さを失い、無策に打ってでる俺を倒すのが
もっとも容易なやり方だと判断したのだ

俺は隊長の中ではもっとも若く経験が少ない
俺が藍染でもおなじ戦法を選んだはずだ
あのやり口は好まないがな


俺はもっとも信用してはならない人物に雛森を預けていた
それどころか俺を含めて精霊挺の誰もが藍染に騙されていたんだ

藍染との戦いに乱入してきた奴ら、
あの俺と変わらない若さの奴をみてわかった

俺も一歩間違えばあいつらとおなじ運命をたどっていただろう



雛森は統学院の学生のころから藍染に憧れを抱いていた
演習時の事故で藍染と市丸に命を救われるとその思いは一段と強くなった

雛森は藍染に認められて側に近づきたい一心で力をつけ、藍染の副隊長にまでなった

俺自身は副隊長になったことがないからわからないが
副隊長ってものは多かれ少なかれ自隊の隊長に憧憬の念を抱いているようだ
まぁうちの場合はそれとは少し違うようだが

だが、雛森の場合はそれだけでは収まらないほどの気持ちがあったように思う
雛森が死神でいる理由は藍染の側にいたいために見えるほどの


藍染が雛森のそんな気持ちをわからないはずがない
わかったうえで利用し、用済みとばかりに斬った

俺には藍染を許す気など毛頭ない
だが藍染は俺が許さなくとも屁とも思わないだろう

藍染にとっては周りの死神すべては欺く対象で
利用すべき駒にしか映っていなかったはずだ

だから俺たちを欺くのにも
雛森を欺くのにも
毛ほどの躊躇も抱かなかっただろう



俺は雛森を守れなかった

だが雛森はまだ生きている
生きていればこそ明日がある

次こそは必ず藍染を倒して
俺は今度こそ雛森を守る














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あれ?勢い、立ち直れなくなる誓いを立てさせてもうたよ。ヒッツーごめん(汗)

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