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□雛森
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藍染隊長は地下の監獄に囚われたと聞いた
二万年だとかよくわからないほどの刑期だ

私はまだ病床から起きあがれないけれど
四番隊からきてくれる卯の花隊長や勇音さん、
お世話してくれる隊士の人たちとの短いあいだの会話くらいはできるようになった

私はシロちゃんに私自身を斬らせる結果になってしまったのだという

はっきりとは覚えていないけれども
藍染隊長に隊長さんたちが斬りかかっていくのが見えた

そして気がついたときには私はシロちゃんに刺し貫かれていた


意識がなくなる寸前、
私の知っていた藍染隊長とはまったくちがう顔をした藍染隊長が
薄く笑う声が聞こえた気がしたー



どうしてこんなことになってしまったのかわからない


護挺の隊長さんたちはとりあえずみんな無事でいるらしい

東仙隊長と市丸隊長は藍染隊長に斬られたとだけきいた

藍染隊長はなぜそんなことをー


私は藍染隊長はただ巻き込まれたのだと信じたかった
東仙隊長と市丸隊長に捕まってしまったのだと


藍染隊長に会って聞いてみて確かめるつもりだった

そのために怪我をおして戦場にでた

でも藍染隊長とは一言も言葉を交わすことができなかった


少し前まで毎日あんなにいっしょにいたのに

私が話しかけるといつも穏やかな笑みを浮かべて答えてくれた


シロちゃんも卯の花隊長も誰もかれも
藍染隊長のなにもかもが嘘だったのだと言った

でもそんなことあるはずがない

あの優しい藍染隊長が嘘だったなんて


知らない姿をした藍染隊長の方が嘘に決まってる

私にはわかっている

私が斬られることになったのはなにかの間違いで
もしこんなことになっていなかったら藍染隊長はまた優しく笑って
「雛森君」
と声をかけてくれるはずだった


どこからまちがってしまったのかわからない
誰が悪いのかもわからない

ただなんでこんなことになってしまったんだろうー



誰かが悪いのなら
そう、市丸隊長が悪いのだと思っていた

藍染隊長が殺されているのを見つけたとき
そこにいたのは市丸隊長で

清浄塔居林で藍染隊長に会ったときも市丸隊長が声をかけてきた

悪い計画があったのならそれを立てたのは市丸隊長で
藍染隊長はただ利用されたのだと



そうだ
私は市丸隊長が妬ましかった

市丸隊長は私のまえの五番隊副隊長で藍染隊長との付き合いはとても古い

藍染隊長のもとで平隊士から副隊長にまで登り
藍染隊長の推薦で三番隊の隊長になった

そのうえ藍染隊長とともに空の割れ目に消えていったと聞いた


藍染隊長が自分から護挺を出ていったのなら
副隊長として私ではなく市丸隊長を選んだのだと思った



でも藍染隊長が市丸隊長を斬ったのが本当なら

シロちゃんに私を斬らせたのが本当に藍染隊長がやったことなら


藍染隊長は長年の部下の市丸隊長さえ信じられなかったのだろうか?

私は藍染隊長に
憎まれて、いたんだろうかー?



でも、なぜ?


わからない

わからないー



わからないけど
藍染隊長はまだ生きている

それならまた会えるかもしれない

そうだ、藍染隊長は生きている

きっとまた会える

そうですよね、藍染隊長ー












.
キングオブタフ雛森(肉体面で。笑)彼女のなにが悪かったんだろう?

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