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□檜佐木
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俺が死神になろうと決めたのはあの日、
袖のない死白装に白い羽織を着て入れ墨をした死神に命を救われたからだ


流魂街出身の俺の周囲には常に死があった

俺が霊術院に入学するまでにいつもつるんでいた仲間の二人は死んだ


霊術院でもともに学んだ同期の二人を失った
卒業間近のことだった

そのとき俺たちを救ってくれたのは
大逆の謀反人となった藍染隊長と市丸副隊長だった


そして俺は今、九番隊副隊長として尊敬する東仙隊長を支えている

俺は東仙隊長のような正義を知る死神になりたかった

だが、東仙隊長もまたソウルソサエティーを裏切りガルガンダの向こうに消えた


他でもなく俺の尊敬する東仙隊長は
他でもない百年以上前に俺の命を救ってくれた六車隊長を
闇討ちにした張本人だったらしい



世界には死が溢れているが
裏切りもまた溢れていたんだ


だがそれがなんだというんだ
生があれば死があって
信頼があれば裏切りもある

虚がいるから俺たち死神がいる
そのバランスを保つために俺たちがいることを
座学じゃなく刀をとって俺に教えてくれたのは東仙隊長だ


そしてそんな俺を生かしてくれたのは
謀反の犠牲にされた六車隊長で
謀反人の張本人の藍染隊長と市丸隊長だった


生と死は常に隣あっていて入れ替わるのは一瞬だ

裏切りは信頼のなかにあって
信頼は裏切りのなかにある



それなら東仙隊長の求める正義がここになくとも
虚圏にもなくとも

それとも虚圏にあって
ここにもあっても
それでもいいはずだ

正義も悪も
信頼も裏切りも
すべては俺たちの心の中にあるのだから


俺は東仙隊長が示してくれた正義を信じている

だが、個人が見ている正義がすべておなじ顔をしているとは限らない

誰だって表面からはみえない心を奥底に隠している

誰でも言えないことのひとつやふたつは抱えている
そんなのは当然のことだ

だから、東仙隊長の求める正義と
東仙隊長が語った正義が違うかたちをしていたとしても不思議はない


それでも少なくとも東仙隊長と俺はおなじ正義を目指して
数十年、ともに戦ってきた

ともに過ごした時間がある
ともに語った理想がある


俺にあるのはそれだけだが
それだけあれば死神として刀を握るのには充分だ


だから東仙隊長もきっと俺たちのところに戻ってきてくれると信じている

ここには俺も駒村隊長もいる
俺たちはいままで以上に心から、わかりあえるはずだ

東仙隊長の本当に目指す正義の道はここで歩めばいい



だから、

だから帰ってきてください
東仙隊長ー













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檜佐木→乱菊を書くつもりが、檜佐木オレオレ男になってもうた。なんでやろ?(泣笑)

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