book

□卯の花
1ページ/1ページ


世界の調和は乱された

死神が魂の調停者として活動するようになって以来このかた

死神と虚の垣根を越えた力を求めて
世界に反旗を翻した者などいない

いなかった


あの瞬間まではー



藍染惣右介



癖のある護挺十三隊の隊長のなかでも
常識を備えた温厚な性格ながらも
戦闘においては実力派と評されていた
はずだった


彼と言葉を交わしたことはそれほど多くない

隊長位に登りつめる出来物の多くは
四番隊には縁がない

彼もまたその一人だった

だが彼はそれを除いても
周到に私との距離を測っていたにちがいない

おそらくは平隊士のころから



四番隊という立場上
多くの隊長を迎えては見送ってきた

その中でも彼は穏やかな人物に見えていた

彼のながくあたためてきたであろう野心に気付くことなく



世界の秩序は保たれるべきもので
ただ受け入れるべきものと心得ていた

それが死神としての分であると


それを己が世界の秩序となって
世を統べようという者が現れようとは

それも私自身のすぐ側に



私たちは知らず知らずのうちと謂えども
身のうちに虎を飼い、育ててきたのだ

世の果てを見んとする虎を



過ちは正されなければならない


だが過ちを正す神は、
いない


私たちが死神という神の名を冠されるのは
秩序を保ち
過ちは自ら正す意思と力を
持ちうるからに他ならない



私のすべてをもって過ちを正そう


世界の調和のために輪廻の輪を離れた私たちの
私の
すべてをもってして
過ちは、正す














.
死神が巨神兵だと卯の花さんは巨神兵の係長。あの長い杖で指図する感じ(笑)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ