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□卯の花
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世界の調和は乱された
死神が魂の調停者として活動するようになって以来このかた
死神と虚の垣根を越えた力を求めて
世界に反旗を翻した者などいない
いなかった
あの瞬間まではー
藍染惣右介
癖のある護挺十三隊の隊長のなかでも
常識を備えた温厚な性格ながらも
戦闘においては実力派と評されていた
はずだった
彼と言葉を交わしたことはそれほど多くない
隊長位に登りつめる出来物の多くは
四番隊には縁がない
彼もまたその一人だった
だが彼はそれを除いても
周到に私との距離を測っていたにちがいない
おそらくは平隊士のころから
四番隊という立場上
多くの隊長を迎えては見送ってきた
その中でも彼は穏やかな人物に見えていた
彼のながくあたためてきたであろう野心に気付くことなく
世界の秩序は保たれるべきもので
ただ受け入れるべきものと心得ていた
それが死神としての分であると
それを己が世界の秩序となって
世を統べようという者が現れようとは
それも私自身のすぐ側に
私たちは知らず知らずのうちと謂えども
身のうちに虎を飼い、育ててきたのだ
世の果てを見んとする虎を
過ちは正されなければならない
だが過ちを正す神は、
いない
私たちが死神という神の名を冠されるのは
秩序を保ち
過ちは自ら正す意思と力を
持ちうるからに他ならない
私のすべてをもって過ちを正そう
世界の調和のために輪廻の輪を離れた私たちの
私の
すべてをもってして
過ちは、正す
.
死神が巨神兵だと卯の花さんは巨神兵の係長。あの長い杖で指図する感じ(笑)