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□猫ごっこ
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【猫ごっこ】
とある夜の私と彼のお話
「雪ちゃん、雪ちゃん」
「どうしたの…って!」
予想通り驚いてくれた雪ちゃん。
ずり落ちた眼鏡をくい、と中指で押し上げながら目をパチパチしてる。
「ナニそれ…」
指差された先には、つんと尖った白くてフワフワの耳。くるりと後ろを向いてみると、またもや雪ちゃんから小さな驚声が。そこには当然のように白くて長い、尻尾が生えていた。所謂ネコ耳、ネコ尻尾というものを、意図的に付けている状態。
「可愛い?」
尾を自ら振って見せながら問えば、雪ちゃんからは苦笑い混じりの返事が返ってきた。
「可愛い…うん、可愛い。でも…それどこで手に入れたの?」
「シュラ先生が、雪ちゃんと二人きりの時使ってみるといいよーって…」
一瞬、雪ちゃんの表情が固まった。そして眉をピクピクさせて「あのヤロウ」と小声で呟いた…ような気がした。
「怒った?」
「そんなことないよ。…おいで」
手招きされる方にとことこと歩いていくと、雪ちゃんの手が私のネコ耳を撫でた。間接的に感じる、優しいなでなでに思わず笑みが零れる。
細い腰に腕を回してギュッと抱き着けば、そっと抱き返してくれた。ちゅと、おでこに口付けて微笑む雪ちゃんに胸がきゅんとする。
「私、雪ちゃんだーいすき」
「本当?僕も雛大好きだよ」
「やったー!じゃあ…もっと可愛がって」
私は目を閉じてキスをねだった。
顔に影が落ちふわりと唇が重なる。雪ちゃんのキスは優しいから大好きだ、気持ちがいっぱい伝わる。
長い口付けから目を開くと、妖しく笑う雪ちゃんの姿。
「あ…」
「もう途中でやめられないからね?」
身体を抱き上げられそっとベッドに寝かされた。
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