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□甘えん坊
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何がして欲しい?って聞いたら彼はこう言った。
「耳かきしてもらいたいなあ」
【甘えん坊】
男兄弟の五男坊、お兄さんや周りの大人に可愛がられて育った志摩君。
飄々としていて、ちょっと抜けてて。
それからとにかく甘えん坊で。
「あぁ〜、気持ちええ〜」
「そう?よかった」
志摩君は私の膝の上で首を擽られた猫のようにゴロゴロ唸っている。無防備に晒された首元が色気を放っていて、可愛い。
「俺、雛ちゃんと結婚したら毎日耳かきしてもらいたいわ」
唐突にそんな言葉を口にした志摩君に思わず赤面した。
「照れてしもた?」
「…はい」
素直に頷くと、志摩君の腕が私の首に回されて引き寄せられた。唇が重なる。
「結婚したらキスも毎日しなな」
「結婚してなくても、してるけどね」
舌を出して微笑んだ私に、「もっと」と志摩君がせがむ。こんなに可愛い彼がどこにいるだろうか。
軽く口付けて唇を離そうとしたが、ぐいと強く首を引かれそれは叶わない。
蕩けるような甘いキスを堪能し終わり、志摩君が私の膝から起き上がった。
「続き、する?」
がっしり捕まれた腕。
志摩君の目が愉快に笑う。
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