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□だから私も、
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*中学生設定





「廉造は将来何になんの?」

「俺?」


夕陽の射す真っ赤な公園。隣り合わせでブランコに乗りながら、私は廉造に聞いた。廉造は困ったような顔をした。


「夢とか無いん?」


更に質問を重ねてみてもなんともいえない歯切れの悪い返事が返ってくるだけ。

「夢なあ…」

「考えたこと無いん、廉造?」

「んー…考えてはおるけど」


考えてるのに言えないなんて余程恥ずかしい夢なのか。益々、興味をそそる。


「そういう雛はどうなんや」

「あたしはなぁ、」


廉造のお嫁さん。

そう言いかけた口が閉じた。

今私が言ってしまったら面白くない。廉造の夢を聞き出してからにしよう、私はそんなことを企んだ。


「あたしは、なんやねん?」

「廉造が教えてくれたら、教えたるよ」

「はぁ?なんやそれ」

廉造は拍子抜けな顔をした。


「だって…廉造が何になりたいんか気になんねんもん」

「俺の事なんかどうでもええやろ〜」

笑い混じりに廉造がぐーっと伸びをする。


(全然どうでもよくないよ)


私は小さい時からずっと廉造が好きで好きで仕方なかったのだから。

「じゃあ、あたしが当てたる!」

「雛では無理やわ、当たらん当たらん」

「そんなこと無い!あたし廉造のことよーさん知ってるもん!絶対…わかる…」


廉造のことで負けるのが大嫌いだった。
誰よりも廉造を知ってたかった。

だが本人にそれが伝わっていないと分かって、悔しくて涙が溢れる。


「ちょ、雛!」

いきなり泣き出してしまったせいでかなり困っているみたいだ。

それでも廉造は指で優しく涙を拭ってくれて、頭を撫でてくれた。


「っ…ぐずっ」

「泣かんでもええのに…。雛は変な娘やなあ」








どれくらい泣いたろうか。

いや、正確には少し前に泣き止んではいた。ただ廉造に頭を撫でていて欲しくて、ずっと俯いてた。

顔を上げて空を見ると、そこにはもう赤い陽は、無い。あるのは、薄ぼんやりとした外灯の光だけ。



「暗なってしもたなー」

「…うん」

廉造の声は変わらず優しい。

横顔を見つめていると廉造も私の方を見た。ばちっと目が合う。

先に視線を外したのは廉造。ブランコから立ち上がり、私に手を差し延べた。


「帰ろか」

差し出された手を無言で握った。
指先が少しひんやりする。


手を繋いで家に帰るなんていつぶりか。


沈黙を破ったのも廉造だった。



「俺なあ、」

「…うん」

「祓魔師なろう思てんねん」


驚いた私は歩みを止めた。
必然的に廉造の足も止まる。


「祓魔師って…金兄や柔兄みたいな?」

「うん」

エクソシストについての知識は殆ど持っていなかった。詳しいことは、わからない。


「坊や子猫さんと一緒に、東京の正十字学園いうとこ通おう思て。それでそこにある祓魔塾にな…」


息が苦しい。

握ってた廉造の手を離して私は逃げるように走り出した。


「っ雛!」


廉造の声が、遠い。





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