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□狼ですね
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−夜
コンコン、コンコン
部屋中に音が響き渡り窓に目を向けると人影があった。あの人しかいない。
直ぐさま鍵を開き、窓を開けた。
志摩君だ。
「こんばんはぁ」
「ほんっとうに、来たんだね」
「勿論ですよ」
室内に入るなりなんの躊躇もなくよっこいしょと、ベッドに腰掛ける。
「女子寮に来るの怖くなかった?」
「ぜーんぜん!…とは言えんな。ちょっとヒヤヒヤした」
志摩君はいつものように軽く笑い頬を掻いた。
まさか本当にやってきてしまうとは…。
内心、ドキドキが止まらないのをなんとかごまかすようにティーカップにお茶を注いだ。
「やっぱ緊張する?」
「ひゃぁ!」
「あーあ…」
突然肩を撫でられ、お茶を注いでいたポットの位置がカップからズレてしまった。床とスカートがびっしょりだ。
「ぷっ…緊張してるんやね」
「ちっちちち違うます!」
「噛み噛みやーん」
またしてもからかわれてしまった。余りにも図星過ぎて恥ずかしくて堪らない。
近くにあったティッシュペーパーを取り床を拭いてくれる志摩君。
「ごめんなさい…」
「ええよ、別に。可愛いしな」
「もう…!」
志摩君の視線を感じ、私は思わず俯いた。
「スカートも…濡れてしもたな」
太股をそっとなぜられれば、体がビクリと反応を示す。
「や…志摩、君?」
顔を上げて目を合わせた途端景色が一転して、真白い天井が広がった。
笑顔の志摩君が私を見下ろしてる。
「脚濡れたまんまや風邪ひいてまうよ?」
「っ」
濡れて張り付いたスカートをなぜながら、志摩君は首筋に口付けを降らせた。鎖骨をなぞる指が益々心拍数を速める。
生温い舌が首元を這う感覚に快感を覚えずにいられない。
「そんな顔ズルイは、雛ちゃん…」
「いや…ぁ」
太股を撫でていた手が不意に私の指に絡み付き志摩君は「誘い過ぎやで」と耳元で囁いた。掠れた声が余計に空気を盛り上げる。
「誘って…ない、もん」
「気ィつけや雛ちゃん。
俺、狼サンやさかい」
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