Starry☆Sky
□そんなこと
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「失礼しまーす。星月先生いますか?」
「ゆきほと……七海?」
「はいそうです。哉太君が今にも倒れそうだった所を保護しました」
「……そうか、悪いな。取り合えず七海はベッドに行け」
そんなこと
哉太君は大人しくベッドへ向かうと、ゴロンと寝転がった。
心配で顔を覗きこむと、少し照れたようにそっぽを向いてしまった。
「……そんな顔で見なくても、寝てれば治りますよ」
「……そう?」
「………ゆきほ先輩」
「なに?」
「この事、あいつらには黙っててもらってて良いですか」
「………」
「俺、あいつらには心配されたくないんです」
「……わかった」
「…ありがとうございます」
「取り合えず今は寝る事。それで、次起きた時に話あるからね。よろしく」
「え…あ…はい」
「じゃあ、おやすみなさい」
私はベッドのカーテンをゆっくりと閉めた。
* * *
「……そういう事なので哉太君が起きるまでここにいさせてください」
「お前…授業はどうするんだ?」
「サボります」
「まったく…今日は特別だぞ」
「…どうもです」
星月先生はやっぱり鋭い。
こういう時はちゃんと空気を読んでくれる。
「暇ですね…。…そうだ、お茶でもいれましょうか?」
「その前にちょっと来い」
「?、…何ですか…………っ…!」
星月先生は私の右腕を掴んだ。
思わず顔が歪む。
「やはりな。ちゃんと見せなさい」
「バレちゃいましたか」
「当たり前だ。俺は保健医だぞ」
私が腕捲りして見せた右腕の一部分が青紫色になっていた。
思わず自分でもびっくりした。
星月先生は痣を見ると、みるみる眉間に皺を寄せる。
痛いとは思ってたけど変色してるし。
うん…、私…良く頑張った!
思わず一人でくぅっと感激していたら右腕にヒンヤリした物を貼られた。
「取り合えず湿布を貼っておいたからな。……それで、この痣はどうしたんだ?」
「えー…、…えーっとー……、こけました」
「嘘つけ…」
「いた!?」
星月先生が私のおでこにデコピンする。
うう…デコピンって結構痛いんですよ。
「どう見てもこけてできた痣じゃないだろうが」
「さっすが保健の先生!」
「こら、ふざけるな」
「うっ…、じゃあ一樹達に黙っててくださいよ!後、これは哉太君からの注文ですけど錫也君と月子ちゃんと羊君にも黙ってて欲しいらしいです」
「わかったから話してみろ」
「早い話が私は哉太君のスーパーマンになったって話です!かっこよくないですか!?」
「……不知火や東月達に報告だな」
「いやー!待って待って!嘘ですよ嘘!全部キレイに逐一報告しますからそれだけは!」
私は星月先生に必死になってすがりつく。
結果、全部キレイに喋りました。
やはり星月先生には勝てないのだ。
大人というものをみくびる物じゃない。
あ、直ちゃんは別物だけど。
「ゆきほ……少しは女という自覚を持て。声を出したりできるはずだ」
「えー…。だって女だからって舐められちゃ嫌だし…。それに…四季君は全部見越して私に哉太君と喋る機会をくれたんだろうなーって…」
「喋る機会?」
「そろそろ話してみようかな、と…。…私の星詠みの事」
「……そうか。俺は良いと思うぞ?お前はもっと人に頼るべきだからな」
星月先生は私の頭をポンポンと撫でた。
撫で方まで大人。
「ふふ……星月先生大人で素敵ですねー」
私は普段皆にするように星月先生にも抱きついた。
もう癖なんです。
すると星月先生は目を丸くして固まってしまった。
「おーい…星月先生?……いたいっ!」
先生からの二度目のデコピンをくらってしまった。
「大人をからかうんじゃない」
やっぱり星月先生には敵いません。
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