Main

□睡
2ページ/8ページ

 「あの二人って仲良しだよねー」
 「何の話してんの、あんたら」
 「あの二人って仲良しだよねーって話」
 「あぁ、あの二人!」
これで通じる二人組というのは素晴らしい知名度だと思う。
 「あの二人って『おさな』だって」
 「へぇー!どっちかが女子なら『あれ』だね!!」
 「多分嫉妬してる」
 「何かこわっ?!まじっぽくて!!」
 「因みに皆さんはどちら派?」
 「アトラス君派」
 「即答だなっ。・・・とか言いながら私もだけど」
 「私は・・・・・・・・・不動君、かな。無口な方だけど喋ってみたらすごい優しいし可愛いしっ!!」
 「私も、かな・・・アトラス君に頭を撫でられてる時の不動君が可愛かった!」
 「何、その光景!メッチャ見たいじゃねぇかあああ!!」
 「口調が凄い事になってるよ・・・」
女子の会話は長続きするものだ。
 今は5時限目が終わったその休み。今日は後1時限で終わる。
しかし、5限目が体育だったので、眠くなる生徒が多い。
実際、教室には机に潰れている生徒も何人かいる。
 「あ、不動君も寝てる」
 「「「え!!」」」
その方向を勢い良く振り返る。

 「・・・・・・」
机に潰れて動かない遊星をジャックは面白そうに見ている。
 「・・・・・・・・・見ていて面白いか」
 「あぁ」
弱々しい声にジャックは即答する。
遊星はのろのろと顔を上げる。もうすぐ予鈴がなる。
頭を腕で支えて、暫くそのままの体制でいる。
二人の席は離れているので、今はジャックが遊星の席に来ていた。
 「・・・・・・・・・眠くないのか」
 「お前は子供か」
 「・・・・・・・・・昼食の後に眠くなるのは人間の性質だ」
 「では俺は人間ではないとでもいうのか」
 「・・・・・・・・・それに動いた後だ、眠い」
 「本当に子供だな」
そしてジャックは遊星の頭を撫でる。子供扱いだ。
 「・・・・・・・・・子供扱いするな」
 「子供だろう。年齢的に」
それもそうか、と遊星は真剣に思った。
それから頭にある手を払う。それでも嫌らしい。
 それを見ていた女子達がきゅんっとなった時に予鈴がなった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ