ショート

□若い僕らの人生設計
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※大学生設定




今日は真田が来るのでお酒を飲むことにした。この前まで課題に追われて会えなかったので、楽しみなのだ。

大学一年生で19歳。お酒なんて少し大人びた外見ですぐ手に入ってしまう。

最近はカラフルなものが多い。幼児がジュースと間違えるのも無理はないと思う。自分用に黄緑のを、真田には水色のカクテルを買って帰った。

プシュッと安っぽい音を立てて開いたプルタブ。2つのグラスに二種類の色が注ぎ込まれる。

「ピンポーン」とチャイムの音。

テーブルの上には、頑張って作った手料理を並べて準備はばっちりだ。

「失礼する」

「真田、そんなに固くならないでいいよ。一人暮らしだしさ。」

「む……」

まだ昔の癖が抜けていない俺の恋人。「さあどうぞ」と椅子を引いてあげれば食事の始まりである。

「これは、何という食べ物だ?」

「ふふ……真田の丸焼きだよ」

「たわけが」

そんな会話を楽しんでいた中、真田の手がふと止まった。

「この飲み物は何だ?」

「お酒だけど」と答えると真田は少し困ったような顔をした。

「幸村、俺達は今何歳だ」
「19だけど?」

「酒は二十歳になってからと決まっておろうが」

「でも真田が酒飲んで馬鹿になっても俺はずっと真田のこと好きだよ」

「いや、そういう事ではなくてだな……」

何でそんなことを言うのだろう。

「真田」

「何だ?」

ベシーンだかバシーンだか知らないけど、派手な音を立てて真田に平手打ちをくらわせた。

「真田は馬鹿になって、俺のことだけ考えてればいいんだよ」

なんで、

なんでそんな顔してるんだよ。

真田は「すまないが今日は失礼する」と言って帰ってしまった。

バタンと扉が音を立てて閉まった後に、俺は倒れこんでしまった。

「真田のばーか」

俺達が将来外国で結婚するために、真田がどれだけ勉強に励んでいるかなんて知っている。

そんなこと分かってるのに。

「馬鹿な、俺」


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