ショート

□君に届け
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ふかふかの椅子。大きく揺れる車体。車内に寂しく響く乗車のアナウンス。

「くあっ」

変なあくびをしてバスから降りる。


「ここ、どこじゃ?」


――――――――


「仁王が行方不明!?」

「はい。私情で仁王くん家を訪ねたのですが……。弟さんの話によると、ここ2日間帰ってないそうです。」

「まじかよ……」

といっても皆にとってはいつものことなので特に気にすることはなかった。しかしブン太だけは違う。

「ブンちゃんの誕生日は絶対忘れんナリ。」なんて言葉を残して起きながら、その当日に行方不明である。

付き合っている身になってみれば落ち着かない。

お陰で国語の授業では音読を間違えるわ、音楽ではリコーダーを吹き間違えるわ、更には熱まで出るわで学校を早退した。

「くっそ……」

フラフラしながら家へ帰る。

昼間の家の中はがらんとしていて白い。

ヒエピタを貼ってベッドに横になると、そのまま深い眠りに落ちていった。


――――――――――

『ピンポーン』

チャイムの音で目を覚ます。部屋には夕日が差し込んでいた。

「はーい」
ドアを開けると、そこには仁王が立っていた。

「プリッ」

「さようなら」

「ちょっ…待つぜょ!!」

「うわっ」慌てた調子に仁王は段差につまづいた。手に持っていた何かが飛んでいく。

「うぎゃっ」と声をあげて派手に転ぶ仁王。そんなことに構わず顔を上げて「プレゼントは!?」と言った。

「これのことかよい?」

飛んでいった何かは地面に落下する前にブン太に保護されていた。

「さすがブンちゃん男前っ!!惚れた!!」と言いながらブン太に抱きつく仁王。

「うわっ。仁王お前きもっ!!」と言いつつも頬を真っ赤に染めているブン太。

すると仁王が思い出したように「その箱開けるぜよ」と促した。

「おう」と返事をして箱の蓋を開ける。

「ショート、ケーキ……?」

「苺摘みに行ったんじゃよ!」と目を輝かせながら言う仁王。

「苺が真っ赤で綺麗じゃろ―」

その後、ブン太のほっぺにキスが落とされた。

「ブンちゃんも真っ赤ぜよ。」


君に届け


(ハッピーバースデーブンちゃん!)

(さ……サンキュ。)

(ショートケーキって俺とブンちゃんみたいじゃな!って、もう食べたんか!?)

(おう。だってさ、)

恥ずかしいだろい!


赤髪の妙技師が世界一様へ提出




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