ショート
□甘くて溶けた
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人がいないかのように静かな授業中
俺の隣にはブンちゃん
今は屋上でサボり中である
二人でボケーっと空を眺めている
しかし、さっきから俺の心臓はバクバクしっぱなしじゃ
嘘をつくのは得意だが恋をしたらシャイな詐欺師じゃな、なんて思ってみる
「におー」
「なんじゃー」
シャボン玉飛ばして、と要求してきたが、あいにくシャボン玉は手元になく、俺は大好きなお姫さまの要求に応えることができなかった
恋が楽しいなんて嘘
ましてや男に片思いなんて叶うことなどないだろう
「仁王」
「なんじゃ」
「飴いる?」
「ちょーだい」
するとブンちゃんは何故か起き上がって、俺の真正面へ移動してきた。そのあと顔を近づけて「本当に?」と聞いてきた
俺が返事をせぬ間にブンちゃんの柔らかい唇と俺の唇が重なった
ドキドキしかしない
ブンちゃんしか見えない
そして少し開いた口の隙間から甘ったるい飴が入ってきた
このいちご味の飴より赤く、俺の頬は染まってるじゃろう
この甘ったるい飴に負けない位、このキスは甘いじゃろう
このいちご味の甘ったるい飴なんかより早く、俺は溶けてしまうじゃろう
甘くて溶けた
唇を離した後「うまい?」と聞いてきたから「甘すぎるぜょ」と答えてやった