ショート
□回れ右で君にキス
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今日はバレンタインデーである
恋する女子が好きな男子に思いを伝える日であり、チョコレートの甘ったるい香りで死にそうになる日でもある
俺と恋仲にある赤也も例外ではなく、チョコレートを貰っている
「いくつ貰ったんだ」
と聞くと、まあまあ貰いましたよ!!と返ってくる声
人の気持ちも知らないで、女子から貰ったチョコレートをムシャムシャと食っている
「柳さん……??」
「何だ」
「なんで泣いてるんすか?」
え?
泣いてなどない、と言いながら目元を触ると確かに液体の感覚がある
「もしかして……嫉妬…?」
「そんな幼稚なことではっ……!!」
幼稚なことであった
赤也に背を向けて「お前が悪い」と言った
赤也は赤也でおろおろしている
その後、チョコレートをすべて丸井のロッカーにぶちこみ「先輩っ……!!ごめんなさいっ」と謝ってきた
相変わらず単純である
背を向けたまま「こっちへ来い」と呼べば、忠犬のように近寄ってきた
首を右後ろへと回せば計画通りに君の顔
その後は君に溺れよう
![](http://id43.fm-p.jp/data/375/rikkai05me/pub/24.jpg)
(チョコレートの味がした)
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